※※第199話:Make Love(&Sex aid).15
ごくりと息を呑んだナナの前、こけしちゃんはにっこにこ、愛羅は瞳をキラキラである。
自分たちはとてもいいことをしたのだと、確信している。
「は、はい……」
微動だにできなくされたナナは、彼を見上げて小さく応えた。
一瞬、誘ったこけしちゃんと愛羅とバイト仲間の羚亜には殺気立った視線が送られたが、みんなフンフフンフフーン(こけしちゃんの場合はフゥゥンにご変換を)と見えないフリに努めた。
「ご注文は?」
伝票用紙が挟まれた黒い合皮のクリップボードを取り出し、薔は不機嫌そうにナナだけに確認してくる。
「えっ!?ちょっと待ってくださいよ!わたしまだ座ったばかりですが!」
ナナは慌ててメニュー表を手にするものの、
「どれがいいかわかるか?」
「まったくわかりません…」
種類が豊富なドリンクについて、悩み始めた。
こけしちゃんと愛羅は、羚亜が注文を取っていった。
同じテーブルなんだから伝票も同じにしてほしいところである。
「ううう〜ん……」
と、どれがいいのかまったくわからず困り顔のナナも可愛すぎて、薔は内心では細心の注意というかただならぬオーラを周りのイケメンたちに払っていた。
一日アルバイトさまの彼女への過保護さというか溺愛っぷりに、店長さんもびくびくである。
「あっ、これ美味しそうです!」
「俺もおまえはそれだと思った。」
ナナは何となく美味しそうな名前ということで冷たいほうのはちみつアップルティーと、海老とアボカドのクラブハウスサンドも頼んだ。
ちなみに、こけし姉さんが喜び勇んで頼んだクラブハウスサンドは、BLTである。
オーダーを済ませてしまうと、彼女のことを最大限に気にかけながらも薔は仕事へと戻り、
「はああ……写真撮りたい……」
「あたしも……」
ナナと愛羅はうっとりと溜め息をつく。
こけしちゃんは、できることならぁ、ここでゾーラ先生ぇも一緒に働いてほしかったなぁぁ……と、そんなことを考えながら終始にっこにこしていた。
そもそもゾーラ先生はもうすぐ誕生日であるという以前に、立派な教師なのに。
学校メンバーズではなく純粋なお客さん方も、あの子きっと彼女なんだろうなと薄々気づくことができた。
ナナには羨望の眼差しが送られているが、肝心のナナは彼の働く姿に大絶賛うっとり中なためまったく気づいてはいない。
そんななか、
「こんにちは。」
「あれぇ!?薔くん!?」
お洒落をしたナナ父とナナ母が、ちゃっかり来店した。
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