※※第231話:Make Love(&Wedding).137








 その後は涙なしには飾れない花嫁の手紙や、両家代表の挨拶などがあったわけですが、やはり涙なしには語れなかったと言いますことで割愛させていただきます。

 メインカップルは二次会に出る予定はなく、校長に共に行動することを求められた醐留権はあからさまに嫌がった。
 校長先生はそれでもめげずに頼りになる醐留権先生について行ったが、ひたすら嫌がられた。

 新郎と新婦は本日の主役だけれど少し遅れて、二次会に参加する予定になっている。





 ハリーの両親は胡散臭さ全開で、どうせなら日本観光を楽しんで行こうと早々に街へと繰り出してくれたため、周りに迷惑を掛けたりはしないかといささか(?)心配な面もあるが何より喧しい事態は回避されて助かった。


 「実穂子サン、今日はお疲れのところ、申し訳ないのデスガ〜……」
 「どうしたんですか?ハリーさん、」
 ようやく支度も済ませて、急いで二次会へと向かおうとしていると、突然、ハリーが神妙な顔で打ち明け始めた。

 「じつはワタクシ、サプラーイズが大好きなのデース……」

 と。





 「…………プッ、」
 顔つきとサプラーイズの発音が妙にミスマッチで、葛篭先生は大笑いをしそうになった。
 ちなみに、婚姻届けは提出したものの、国際結婚ということで苗字については悩んだが名前の変更手続きはすることなく夫婦として暮らすことを決めていた。

 そして葛篭が大笑いをする前に、胡散臭いほど真剣な表情でハリーは告げたのだった。

 「ですノデ〜、今夜はもう実穂子サンハ、今までのアパートメントには帰れまセーン!」









 「ぇぇえ?」
 そんな話はまったく聞いていなかった上にどういうことかと、葛篭は目をぱちくりさせる。

 「アパートメントはワタクシガ〜、解約させていただきマシタ〜!荷物はもう全て新築一軒家に送らせてありますノデ、ご心配ナク〜!」
 「ぇぇぇぇえええ!?」
 葛篭はびっくり仰天だが、ハリーはどこまでも真剣だった。

 「大丈夫デスヨ〜、ローンは組まずに一括購入いたしましたカラ〜!実穂子サンの学校にも、今より近くなりマスカラ〜!」
 「えぇぇぇぇぇえええええ!?」
 いくらサプラーイズ好きにしても、葛篭先生にはサプラーイズすぎた。
 まあ、ハリーは葛篭の両親に初めての挨拶を済ませた後にそんなような宣言はしていたし、これでようやくナナ父とナナ母も、夫婦水入らずの生活を送れるというわけです。

 「ワタクシ二次会よりモ〜、早く実穂子サンとの愛のマイホームに帰りたいデース!」
 「ちょっとハリーさん、あの……夫婦になったらいきなり強引ですね!」

 ……非公認のお師匠さまがお師匠さまだから、強引については致し方ない。

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