※※第231話:Make Love(&Wedding).137
そして披露宴後半では、さっそく友人も含めスピーチの時間がやってきた!
しかも真っ先にスピーチをすることになっているのは、ナナ父だった。
原稿を手にしているナナ父は、ぎくしゃくとマイクに向かって歩き、緊張のあまりかぎこちなさの代名詞のように初めはなっていた。
ナナ母は黙って、心で夫に活を入れている。
(お父さん、大丈夫かなぁ……)
ナナは途中乱されはしたものの彼のおかげで自分の余興は大丈夫なような気がしていたが、父のスピーチはかなり心配だった。
ヴァンパイアですが、頼りない父ではありますもので。
ナナ父は原稿の確認のときに、娘の旦那(ではまだないけど)にアドバイスをもらった通りに、マイクの前に立ってからまず一呼吸置くと、なるべく落ち着くよう言い聞かせながら会釈や自己紹介をして、友人スピーチを開始した。
『僕たちは、ちょっとした勘違いから親友になりまして、ハリーにとって僕は男のなかの男だそうですが、最近言ってくれなくなりました。もっと言ってよハリー、そんなこと言ってくれるのハリーだけだからさ。そんなハリーは、見た目も中身も胡散臭いのですが、だからこそ場を和ませることが上手なんです。一度驚きの誕生日プレゼントをもらったことがあるのですが……それについてはご想像にお任せします。』
父は娘の旦那(ではまだないけど)にアドバイスをもらった通りに、努めて会場全体へと視線を配りながらスピーチをしていた。
「…………プッ、」
藁人形だということを知っている葛篭先生は、大笑いこそ堪えたものの思わず吹いてしまった。
新婦が笑いそうになるものなんだぁ……と、皆さんは様々な考えを巡らせたりした。
『でも一番驚いたのは、こんなにも素敵な女性と出逢えてゴールインできたことですかね、出逢った時の一言目がまさかの“結婚してください”で、なんと本日実現させました、すごいぞハリー!おめでとう!』
ナナ父は感極まり、思わず泣いてしまってから、
『以上です!拍手!』
拍手で締めくくった。
ここで、原稿を読んで内容を知っていたナナと薔とナナ母も拍手を送ったために、場内には拍手が巻き起こった。
ナナ父の後には葛篭先生の友人スピーチなどがきて、スピーチの時間の後にはいよいよ、余興の時間です!
ちなみに、余興は両家から一組ずつで、ナナと薔は二組の余興とは言ってもトリを飾ることになっていた。
[ 514/535 ][前へ] [次へ]
[ページを選ぶ]
[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]
戻る