※※第231話:Make Love(&Wedding).137
醐留権先生は、歓談タイムとなってからいつの間にかナナと薔の姿を見かけなくなったこともあり、自分ももし彼女と列席した際には見習いたい行動だと眼鏡をくいっとさせた。
葛篭先生のご両親はお師匠さまをそわそわと探しているし、目立つイケメンが歓談タイムになってから席を外してしまったので残念がっている者はかなりおりました、もちろん校長先生もね。
「あっ、あの……出て来ちゃっても大丈夫なんですか?」
ナナはドキドキしながら、彼に手を引かれるままに歩いていた。
もしかしたら改めて余興の打ち合わせがあるのかもしれない、とかを、考えるようにはしている。
「少しなら大丈夫だ。」
一瞥と微笑を投げた薔は、きちんと把握してあったとある場所までやって来ると、
バタン――――…
彼女をちょっと強引にその中へと連れ込んだのだった。
「わああ、お花がきれいです…!」
とかナナは感心しているが、そこは個室がたくさんある、立派な女子トイレだった。
さすがは結婚式場のトイレ、清潔感と高級感に溢れてはおりました。
「って、あれ?ここは、男性も入ってもいいんですか?」
ふと、目をぱちくりさせたナナが彼のほうを見ようとすると、
「まあ、ダメだろうな、」
磨かれた大きな鏡が広がる洗面台の前で、後ろから抱きしめられていた。
跳ねた鼓動がそのまま鷲掴みにされて、持っていかれてしまうような感覚にナナの全身は火照りだす。
「ダ…っ、ダメなら……ダメっ、ですよ…っ、」
彼女は小さな声で、振り絞る。
幸いなことに、ここにはふたり以外誰もいない。
けれど、いつ誰が入ってくるかも、わからない状況だ。
「そんな顔で言うなって……余計に我慢できなくなる、」
薔は後ろから、頬へとゆびの背を滑らせて、耳もとへとキスをしてくる。
「あ……っ、あ……」
片手でさらに腰をつよく抱き寄せられ、ナナは自分が今どんな表情をしてしまっているのかを、羞恥と共に鏡へと映し出されてしまっていた。
「こら、響いちまってんぞ?声…」
彼は耳もとや首筋へと、何度もキスをして、頬を愛撫していた手で口元を覆った。
「んっ…ン、……っん、」
ナナは感じて、恥ずかしい場所が切なく疼いてしまい、もじもじさせている。
灯されているのが落ち着いた照明だからこそ余計に、エロティックに感じてしまう。
「おまえが可愛すぎて……いつでも俺の視線、奪うから……触れたくてどうかしそうになってた……」
色っぽい吐息が、キスで熱くさせた肌を滑る。
囁かれたナナはぞくぞくして、ますます下着を濡らしてしまう。
彼の手のひらのぬくもりが、息づかいも抑えようとしているくちびるに伝わりきて、あまりにも心地が良いことに困惑してしまった。
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