※※第231話:Make Love(&Wedding).137
「ナナは立派になったわね、薔くんのおかげね。」
表情にこそ出してはいないものの、ご満悦のナナ母と、
「お父さんにはあんなこと、一度も言ってくれたことない……」
友人スピーチが待ち構えているというのに、娘を遠く感じて凹むナナ父。
クリームホワイトで落ち着いた基調の控え室は、とってもほのぼのムードです。
「つうかおまえ、ドレス着てんだから勝手に蹴飛ばすんじゃねぇよ。」
「えーっ!?そんなの構ってられませんよ!」
とここで、彼女がワンピースドレスを着ていることから、パンツが見えてしまう危険性があることを考えた薔の雰囲気はそら険しくなった。
彼の髪を勝手に触られてなりふり構っていられなかったナナは、未だにどさくさに紛れている。
薔は一度はあからさまに、雰囲気をそら険しくさせたものの、
「この度は、息子さんのご結婚、おめでとうございます。」
立ち上がり再び黒髪に魅入っているハリーの両親へとそら爽やかな微笑みと祝福を向けてから、ただならぬオーラと共に確認した。
「後でお二方にもメッセージをお伺いいたしますが……俺のこいつのドレスの中は見えていませんよね?」
と。
「……ハイ、神に誓っテ……」
息を呑んだハリーの両親は、本当に見えていなかったために宣誓すると共に、見ていたものナラ殺されル……と確信した。
「それなら良かったです、」
彼の爽やかさと敬語にときめいているナナの手を取ると、突然、薔の雰囲気は豹変した。
「ったく、気をつけろよ?俺だって新郎の両親を血祭りに上げんのは御免だからな……それから、お前ら無駄に喧しいんだよ、大人げねぇにもほどがある。新郎の両親っつっても、空気を読むことすらできねぇなら容赦なく放り出すぞ?それが嫌ならもっと落ち着いて式や披露宴に臨め、いいな?」
「かッ、畏まりマシタ……」
高校二年生に厳しく諭されたハリーの両親こと年配の男女は、敬礼をして見せた。
ナナ母は心にて娘に写真の催促をし、ナナ父はこのハリーの両親の敬礼だけは何だか胡散臭く感じないことに驚きだった。
控え室にいる皆さんは、思っていたことを代表して堂々と諭してくれた美形男子に惚れ惚れしている(よって血祭りのくだりはどこかへ吹っ飛んだ)。
「先に向こう行くぞ?」
「あっ、はい……」
とりあえずハリーの両親には頭を冷やす時間を与え、薔はナナを連れて葛篭の両親のほうへとインタビューに向かった。
「母さん!?腰が砕けたのか!?」
「お師匠さま、ステキすぎる……」
葛篭の両親もあまり、インタビューできる状態ではないようだったが。
「天使のような悪魔のようナ〜、ミステリアースなべっぴんさんデスネ〜……まさにデンジャラスビューティフォー……」
「あれは祓えマセン、美しさは罪デスネ……」
ハリーの両親は、とりあえず黒髪から全体像までを激写させてほしかったがとてもではないが言い出せず、感心しているばかりだった。
そうこうしているうちに、結婚式の時間となりました。
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