※※第230話:Make Love(&Nasty).136
「……おまえ、膨らませ過ぎじゃねぇか?」
イチャイチャの時間を堪能した後、再びザザえもんの浮き輪を膨らませ始めたナナを、薔はやや呆れたように眺めていた。
「だってこれ、楽しいんですもん!」
ナナは数をたくさん膨らませてしまうと面積を取られることを考慮して、いったん膨らませた浮き輪の空気を抜いて再度膨らませるという作業を行っている。
一度も膨らませていない浮き輪は、まだまだたくさんございます。
シュコシュコという、浮き輪に空気を入れてゆく音が軽快にリビングには響いていた。
「ふーん…」
ソファに座って彼女の様子を眺めていた薔だったが、
「ナナが構ってくんねえ…」
ふと、わざとらしく呟き寛ぐわんこたちのほうへと歩み寄っていった。
「………………!」
ときめきによりあんぐりと口を開けたナナは、シュコシュコを止める(空気を入れるのを止めただけではじめから何も卑猥なことはしておりません)。
「花子…」
わんこたちの隣にしゃがんだ薔は花子に声を掛けたが、先に飛び付いたのは豆のほうだった。
“花子ちゃんのご主人さま!花子ちゃんはもうぼくのものです!”
“あっ、こら!豆くん!”
わんこたちにはわんこたちなりの、嫉妬やなんかの世界があります。
「ちょっとーっ!構ってますよ!さっきだって……薔はもんのすんごく嬉しいことをおっしゃってくださったじゃないですか!」
萌えに突き動かされたナナは素早く彼へと駆け寄り、
「ばか、それは言うな…」
思い出すと恥ずかしいのか、耳まで赤くしているように見える薔は抱き上げている豆で顔を隠した。
(か〜わいすぎる――――――――――っ!)
(※ワオ――――――――ン!)
共にエコーをつけていたたきたいが、乙女たちのときめきはおそらく銀河を駆け抜けた。
ちなみに花子はもちろん、ご主人さまにときめいております、豆くん残念。
「薔も一緒に浮き輪を膨らませましょうよ!」
ナナは元気よく、浮き輪を共同作業で膨らませることを提案してみたものの、
「やだ。」
「やだーっ!?」
きっぱりと断られた。
なでなでされた豆は何だかんだで大はしゃぎで、そっと下ろされると今度は花子がなでなでしてもらえて、ご満悦の様子である。
「もっ、もしかして薔は、わたしに……甘えたいん、ですか……?」
雰囲気からなんとなくそう覚ったナナは、ドキドキしながら思いきって尋ねる。
「ん、そうだよ……おまえよくわかったな?」
彼女を見上げた薔は花子をなでなでしながら、嬉しそうに笑って見せた。
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