※※第230話:Make Love(&Nasty).136
「えええ!?ハリーのお父さんとお母さんも、明日の結婚式には出席してくれるんだ!」
友人スピーチの緊張のあまり、今夜は眠れそうにないナナ父は、リビングにて目が爛々としているハリーの前でびっくり仰天した。
「そうなのデース!何てったって可愛い息子の〜、晴れの舞台デスカラ〜!」
じつは三度目の晴れの舞台であるが、ハリーは陽気に笑って返した。
まあ、イタリアからの旅費などは掛かるだろうが、ハリーの言っていることは至極当然のように思える。
しかしながら、ナナ父はひどく心配している様子を隠しきれておらず、
「大丈夫……なの?ハリーのご両親、結婚式の最中に……何かしでかしたりはしないかな?」
控えめに、尋ねてきた。
「HAHAHA〜!大丈夫ですヨ!ワタクシの父と母デスヨ〜!?」
ハリーは結婚式前夜のハイテンションでいるのか、高らかに笑いながらナナ父の背中をBASIN!と叩いた。
「だから心配なんだけど……ハリーのお父さんとお母さん、ハリーよりも遥かに……胡散臭いからさ……」
背中痛いなとか思いながらも、ナナ父の心配は止まらないようだ。
それよりも、ハリーの両親はハリーよりも遥かに胡散臭いの?
“胡散臭い”の代名詞という解釈でいいの?
相手が金目当てであったが故の二度の離婚に激怒して勘当を強いたような両親が、ハリーより遥かに胡散臭いとは信じ難い話なのだが。
「うっかりハリーがじつはまだ整体師じゃないこととか陽気に話しちゃいそうだし、結婚式の披露宴の最中に悪魔払いし始めたりとか呪文唱えたりとか、平気でしそうなんだけど……、あとハリー以上に、美しい黒髪が大好きで食いつくから薔くんが危ない……(むしろその点ではご両親が危ない……)」
ナナ父は次々と懸念される事態を明かし、最終的には娘の旦那(ではまだないけど)の心配も兼ねてハリーの両親の心配までおそらくしてくれた。
そう言われてみれば、ハリーも真っ先に薔の黒髪には食いついたな(そして花子にお尻を噛まれた)。
「大丈夫デスヨ〜!マサの娘サンの旦那サマハ〜、ワタクシのお師匠サマですカラ〜!」
「ナナにはまだ旦那いないよ!」
「雅之、うるさいわよ?」
「はい……」
あまり解決にもならないような内容でハリーは親友をなだめ、ナナ父は一瞬だけ憤慨して見せたがリビングに顔を出した妻に諭されすぐに大人しくなった。
「それからハリーさんも負けず劣らず煩いわよ、明日は晴れ舞台なんだから男は堂々と寝なさい。二人とも本当に喧しいわね、とりあえず演歌でも聴いて落ち着くといいわ。」
「ごめんなさい、ハニー……」
「面目ソーリー、ハニーサン……」
ナナ母に厳格な態度でたしなめられたおっさんたちは、ひとまず演歌を聴いて精神統一をすることとなった。
ハリーの両親についてはまさに初登場となりますが、ナナ父の心配は杞憂に終わることを願います。
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