※※第229話:Make Love(on Her bed).135







 彼の問いかけは不思議なほどに自然と、本能へと響いてきた。

 「……っっ、キス…っ、して…っ?……薔ぅ…っ、」
 せがんだナナはあまりの気持ちよさに、泣けてしまう。

 「泣きながらおねだりしてくれんのか、おまえ可愛すぎだろ……」
 掴んでいた手から手を放し、伝う涙を親指で拭うと、

 「舌はゆっくり伸ばしつつ……深くまで絡めて来いよ?」

 くちびるへとくちびるを寄せ、求めたキスを薔は与えてくれた。
 しかも、声を抑えさせるために、初っぱなからディープなやつを。



 「ん…っ、ふ…っんっ、」
 ナナは腰が砕けて後ろのめりに倒れそうになり、すかさず抱きしめられる。
 吸いつきあうように触れあわせたくちびるは熱くなり、口内でゆっくりと舌を絡め始めていると、不意討ちで歯齦や上顎へと舌を這わされた。


 ツプッ…グチュッ、グチャッ…

 甘い蜜は快く、次々と彼の手へと差し出されてゆく。

 「……っ、は…っ、」
 舌を吸いながら、いったん僅かにくちびるを放した薔は息を上げ、彼女へ微笑みかけると、

 「ん……っっ、」

 ナナには息を漏らす間も与えず再びくちびるを奪った。







 先ほどよりも深く、舌を触れあわせた。
 ふたりして響かせるリップ音が、なんだか懐かしい部屋を凄艶に彩る。

 「ん…っン、んん…っ、」
 ナナはきゅっと、彼のシャツを掴む。
 この部屋のなかで、自分を虜にするのは圧倒的な、心地よく甘い匂いだった。

 薔は親指ではクリトリスを撫でながら、膣口へもゆびを滑らせていった。

 「んんう…っっ、ん…んっ、」
 欲しがりな襞をなぞられ、ナナはさらに腰を悩ましく跳ねさせる。
 くちびるへと吸いつく力は強くなり、息の根ごと溶かされさらわれてしまいそうな感覚に陥った。
 蜜の音が濃くなる、部屋へと漂ってくる美味しそうな匂いも、理性を呼び戻すことは到底不可能だった。




 「……奥から吸い寄せてる…」
 また少しだけくちびるを放した薔は、彼女の上唇にキスをして、そっと囁いた。

 「俺の指を欲しがってんだな……入れてやろうか?」







 ナナはわざと確かめられたことに、中を切なく疼かせた。
 彼は下唇へとキスをして、しなやかに髪を撫でてくる。

 「……入れて…っ、くらさ…っ、ん…っ、」
 素直に求めるしかなくなり、ナナは甘えた声でせがみ、

 「それなら、息もできねぇほどのキス…交わさねぇとな?」

 こんな状況でなければより一層の声を上げてしまう彼女のくちびるを、薔はいきなり激しく奪いにきた。

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