※※第228話:Make Love(&Sexily).134
「……司のやつ、おれの誕生日プレゼントは肩もみ券かよ、しかも50まいもあるじゃねぇか……かわいすぎるぜおい……」
ここは慎くん宅です。
兄や両親は、家族みんなが揃ってから誕生日を盛大に祝おうと準備万端だったが、慎は部屋にこもり親友というか勝手に嫁に認定した司がくれたプレゼントに大興奮していた。
きちんと切り離せる仕組みの肩もみ券5枚つづりが、10セットも手元にある。
司の話によると姉も手伝ってくれたそうで、よくよくめくって見てみると司の歪な字体で書かれたものより、姉の丁寧で美しい字体で書かれたもののほうが比率的に多かった(こけし姉さんはがんばった)。
50枚ということは、一年を365日として(閏年は1日増えますがまあ基本的な日数で)、だいたい一週間に一度くらいのペースで肩を揉んでもらえることとなる。
慎くんにとっては、これ以上ない誕生日プレゼントです。
興味津々で、肩もみ券のセットをめくって凝視していた慎は、
「……んんん?」
ふと、券の裏側にもところどころ、文字が刻まれていることに気づいた。
字体からしてゆくゆくは義理のお姉さんが書かれたものであることは、確かだった。
まず最初には、こんなメッセージが書かれていました。
“肩をもませているさいちゅうに、おしたおすんだよ、慎くん”
(ええええええ!?)
びっくり仰天と共に赤面した慎は、次のメッセージを探してみる。
“おしたおすことができたら、ヒーローグッズで司の気をそらして、さりげなくキスをする”
(えええええええ!?)
お義姉さんのメッセージというかもはやアドバイスは、かなりマニアックになってまいりました。
いとも簡単に弟を差し出そうとしているわりには、いつも一番に邪魔をする存在からのアドバイスは説得力があるんだかないんだかがよくわかりません。
“キスをしたら、おそってよし!”
(えええええええええ!?)
これ以上探すのが恐ろしくなった慎は、いったん肩もみ券を机の引き出しに仕舞い込んだ。
鉛筆で書かれているのは、使う際には消しゴムで消すようにということか。
なんだか悶々としてしまった慎くんは、
自分の誕生日だというのに鼻血を出した。
「うわっ!どうしたんだ!?慎!今日はお前の誕生日だろ!?」
「うるせぇな、ほっとけよ、兄ちゃんのばかやろう!」
「なんだとーっ!?ほっとけるか!ほら、ティッシュ丸めてやるから鼻に詰めとけ!」
「兄ちゃんのくせにおれにさしずすんな!」
「なんだとーっ!?」
いかんせん遅いと思い呼びに来たお兄ちゃんは、鼻血を出している弟の姿に一驚してから憤慨もしたが、何より心配してくれた。
優しいお兄ちゃんです。
誕生日パーティーはまだまだ、始められそうにありませんね。
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