※※第228話:Make Love(&Sexily).134
「あの野郎……勝手に話しかけやがったな?」
貴重な浮き輪姿を見ないようにと努めた屡薇だが、リビングへと戻ってきた薔は話しかけたことについてご機嫌ななめとなっていた。
「薔だってお話してたんですから、おあいこでいいじゃないですか!」
浮き輪をつけたままのナナは元気よく、彼をなだめにかかり、
「俺の場合は男同士だぞ?おまえに話しかけんのとはわけが違ぇだろ。」
「なんだかもうもんのすんごく、可愛らしいんですけどーっ!」
「あ?」
薔の機嫌は未だ回復してはいないようだが、立派なイチャつきの時間へと切り替わった。
※腐的な単語探し:どこかしらにこけし姉さんが食いつきそうな単語が、含まれているよ!
「それより、薔もこの浮き輪つけてみてくださいよ!」
瞳を輝かせたナナは純粋に、ザザえもんの浮き輪をつけた彼氏の姿を拝みあわよくば写真を撮らせてもらいたいがために話題を逸らし、
「つうかおまえ、服の上に浮き輪っておかしくねぇか?」
「えっ!?それは、そうですね!」
薔としては何かしらの目論見を持って、彼女へと確かめた。
すんなり納得したナナは、いそいそと浮き輪を下ろしてゆく。
そして、
「よし、正しい格好をした上で、つけてみるか。」
「えええっ!?」
まんまと強引に、着替えのためにクローゼットのある寝室のほうへと向かわされたのだった。
気を利かせたわんこたちは、熟睡タイムへと突入すべくじゃれ合いながらお部屋へと向かっていった。
――――――――…
愛の巣を出た屡薇は、まっしぐらに真依のもとへ向かうことはせずに、急いでいったん自分の部屋へと戻った。
今、彼女のもとへ向かうにはどうしても、“あれ”を持っていかなければならなかったからだ。
急いてしまう気持ちを鎮めることは不可能で、屡薇は勢いよくそれを手にした。
再び玄関へと向かう心は、まっすぐに真依だけに向かっていた。
…――――愛とは、過去から迫りくる呪縛ではない。
振り切るためにわざわざ、タイトルをつけようとしたこと自体が、とてもばからしいことのように思えた。
今、屡薇が想いを馳せているのは、「そんなばかなことをして……」と叱ってくれる祥子のことではなかった。
仕事を終えて、今真依は何をしているのか、何を考えているのか、それだけだった。
ただひたすらに、真依が愛おしくて仕方なかった。
タクシーを拾う時間すら惜しくて、屡薇は彼女のアパートへと向かって駆け出した。
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