※※第226話:Make Love(&Privily).133







 じゅっ…ちゅぷっ…

 普段はこの部屋に響くことのないリップ音が、猥りがましく響いている。
 ナナはブラウスのうえから、抱いた腰を撫でられ躰が火照るばかりだった。
 しなやかに髪をゆびが滑り、頬を撫でられ、また顎へと滑るとさらに少しくちびるを開かれる。

 「ん…っん、んう…っ、」
 彼のシャツを掴めば、ゆびさきまでときめいた。
 より深く、口内を探るように滑り込んだ舌は舌をゆっくりと撫でて、吸いながらやさしく引っ張られる。

 「は……」
 いったん僅かに放されたくちびるのあいだ、零れた吐息は絡みあい、

 「や…っ、あ…っ、ダメですよ…っ、薔ぅ…っ、」

 ナナはほんとうはちっともダメではないのだけど、スリリングな環境に昂りつつ彼を制止させようとした。
 何とも甘ったるい声で。


 「本気の“ダメ”じゃねぇな……おまえはただ俺を煽ってるだけだ、」
 くすっと笑った薔は、吐息で彼女のくちびるを愛撫した。
 見透かされているようで、彼の雰囲気が妖しくて、ナナはますます興奮してしまう。

 太股を撫でる手が、おもむろにスカートをたくし上げる。


 「ん…っや、ダメ…っ、」
 すでに濡れてしまっているナナは、またしても甘えた声を上げて、

 「こら、」

 ふたりのくちびるのあいだに立てた人差し指を持ってきた薔は、艶いた脚を撫でながら微笑んで言い聞かせた。

 「声は我慢してろよ……」









 「……っは、……っっん、」
 ここがどこなのか、いまがいつなのかを改めて思い知らされ、ナナは言われた通りに声を我慢しようと口をつぐむ。
 そんなくちびるを人差し指が弾くように滑り落ちて、ブラウスのうえから胸をさすられた。

 「ん…っ、ん…っンっ、」
 ビクビクッとふるえながら、ナナは必死になって声を押し殺す。
 「すげえ可愛い…」
 くちびるのすぐ近くで吹き掛けて、薔はまた彼女のくちびるを奪う。

 薄暗い準備室のなかで、エロティックな行為は加速する。
 リップ音が、外からの音を遮断するみたいにいやらしく反響していた。

 胸をさすられていると、直に触れてほしくなる、撫でられている太股も、もっと上へと這って濡れた秘部を捕らえてほしくて堪らなくなる。

 「ん…っ、……っんっっ、」
 ナナは抱いて机へと座らされ、淫欲を高められてゆく。
 ゆびさきが触れた制服のリボンがふわりと揺れて、ブラウスのボタンを外されだした。

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