※※第226話:Make Love(&Privily).133
化学準備室には生憎、横科先生はいなかった。
通常なら安全のためドアに錠くらいしてあるものかもしれませんが、物語のと言うよりムードの都合上そこは開いていたということにしてください。
「あれ?誰もいませんね。」
キョトンとしたナナはとりあえず、机のうえにノートを提出して帰ればいいかなくらいに思っていた。
「そうだな、」
これを狙っていた薔は後ろ手にドアを中から施錠して、窓辺へ向かって歩み寄る。
準備室のドアには小窓がついているが、カーテンがかかっており外から中は窺えないようになっていた。
「ここに置いておけば、いいですかね?」
ナナは棚に並んだ数々の瓶たちを興味津々に眺めつつ、机のうえにノートを置いた。
シャッ――――…
その瞬間、化学準備室の窓には勢いよくカーテンが引かれた。
一気に薄暗くなった部屋の中、ナナはびっくりして窓のほうを見やる。
すると、
ちゅっ…
いきなり、くちびるを奪われていた。
廊下のほうから、数名の生徒の声が響いてきていた。
やわらかく重なったくちびるは、そっと放されてゆく。
「え…っ?あの…っ、」
真っ赤になったナナは慌てて、突然のキスにドキドキしすぎて机へと寄りかかり、
「なぁ、」
彼女が逃げられないよう机のうえへ挟み込むように両手を突いた薔は、再びくちびるへとくちびるを近づけて、囁きかけた。
「このままここで……えっちなことしたくねぇか?」
「ダ…っ、ダメ…ですよっ、……こんな…とこで…っ、」
くちびるを熱がなぞり、ナナはぞくぞくした。
横科先生がいつ帰ってくるかわからないうえに、廊下をいつ誰が通るかもわからない。
非常に危険な場所だ、しかも今はお昼休みだ、それでも“ダメ”と言葉にしながら本心では欲しがってしまっている自分がいる。
「つっても俺がもう、我慢できねえ、」
迫った薔は彼女の心情をちゃんと察している様子で、不敵な笑みを浮かべ顎をクイと持ち上げると、
「おまえがそんな顔、見せてくるからな…」
今度は濃密に、そのくちびるを奪ったのだった。
「……っん、ふ…っん、」
顎を下へ引かれ、開いた口内へと舌を滑り込まされる。
最初は舌先が遊ぶように触れあって、刺激をされる。
化学準備室のなかは独特のにおいがしていたが、近づきすぎた彼の心地よい匂いにくらくらした。
ナナは片手で腰を抱かれ、キスを深められた。
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