※※第226話:Make Love(&Privily).133








 「ほわあ!すごいですーっ!」
 一気に500点以上へと膨れ上がったフジザキパンのシールを眺めながら、ナナは大喜びしていた。
 「そうだな、良かったな?」
 喜ぶ彼女を眺めながら、薔も嬉しそうに笑っている。


 (ナナちゃぁん、良かったねぇぇ。)
 何となくこうなるような気がしていたこけしちゃんは、彼氏の悩みについてはつゆ知らずにっこにこである。
 ゾーラ先生が30点ぶんを集めた暁には、巧い具合に薔へと手渡すよう(しかも自分が見ている前で)アドバイスをすることは確実と思われます。



 「花子ちゃんと豆ちゃんにも、もらってあげられますね!」
 「そういうことになるな、やっぱおまえは優しいな?」
 「えっ、エヘヘっ……」
 浮かれ気分のナナはわんこたちのぶんもザザえもんの浮き輪が確保できたとはしゃいでいるが、豆の場合はどうやってもまだ輪の中に収まりきらないような気が薔にはしていた。
 でも彼女の喜びようが可愛すぎたので、特に何も指摘はしませんでした。

 いずれはさらに増えるであろうと思われる点数ぶんのザザえもんの浮き輪をもれなくもらえたとして、すべて膨らませたものなら身動き一つ取れなくなりそうな勢いだ。

 大喜びのナナはまじまじと、大量のフジザキパンのシールたちを眺めていたのだけど、

 (…………んんん?)

 ふと、気づいてしまった。

 (どうして薔は一気に、こんなにもたくさんのシールを手に入れることができたのでしょうか?)

 と。
 歓喜のあまり真っ先にそこには気づかなかったんだね。




 それは彼氏の人気がありすぎるからに他ならないのだけど、

 「あのぅ……」
 「ん?どうした?」

 ナナは上目遣いに控えめに、彼へと尋ねてみた。

 「なぜに薔はこんなにもたくさんのシールを、一気に手に入れることができたのですか……?」
 その姿は薔をムラッとさせるにはじゅうぶん過ぎた。
 同時に、からかい甲斐もあり過ぎる姿であった。



 「やっぱおまえもそこは、気にはなったか……」
 突然神妙な面持ちとなった薔は、やや俯き加減に口にし始めた。

 「実はな、俺は……」





 ナナはごくりと息を呑む。
 一生懸命にシールを集めたギャラリーさん方だが、先ほどありがたき感謝の言葉をいただけたのでここで別に事実が明かされなくともどうってことはなかった。

 もったいぶられてそわそわしてしまっているナナの前で、やはり俯きがちに薔は告げたのだった。

 「フジザキパンにはコネがあんだよ。」









 「ええっ!?ネコ!?薔はフジザキパンさんでもしや、ネコちゃんを飼ってらっしゃるということなんですか!?」
 「まあ、思った通りの聞き間違えだがつまりはそういうことだ。」
 「そうなんですかぁ!お家には花子ちゃんがいるので、フジザキパンさんで飼ってもらえて良かったですねぇ!」
 ナナは見事なまでにコネをネコと勘違いし、薔は笑いを堪えながら彼女の反応を楽しんでいる。
 まさかこんなやりとりに落ち着くとは思っていなかった周りも、ひたすら笑いを堪えていた。

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