※※第225話:Make Love(&Eagle wings).132
「もーうね、真依さんたら、俺を凹ませといて喜ばせんのが上手い!」
リハーサル終わりの缶ビールを片手に、屡薇はばっちり土曜の夜彼女を部屋へと連れ込んでいた。
じつはヤキモチを妬いていてくれたことに未だ感極まっているようで、ほろ酔いをやや通り越して酔っぱらいになりつつあるかもしれない。
「屡薇くん、なんか、おっさんみたい。」
呆れ気味の真依だが、酒の肴についてはしっかりと用意してくれてあり、
「俺まだ21で見目麗しいけど、おっさんなの?」
ちょっとしょぼんとした屡薇はぐびっとビールを飲んだ。
自分で自分のことを「見目麗しい」とか言っちゃっているし。
真依は思わず、笑いそうになった。
酔っぱらっている彼は扱いようによっては、面白い反応が見られるかもしれない。
「そういうとこがもう、おっさんみたい……」
笑いを堪えながら、真依はわざと強調してみた。
可愛いとか思っているからこそ、からかい甲斐もあるのだけど。
ところが、屡薇はさらにしょぼんとしてくれるかと思いきや。
「え〜、腹とか出っ張ってねぇし、おっさんは勘弁してよ。」
彼は突然目の前で、トップスを脱ぎ捨てたのである。
彼女におっさん呼ばわりされている屡薇は立派に、躰は引き締まっております。
「ちょっと!いきなり脱がないでよーっ!」
「いいじゃん、上だけだし。」
ドキッとした真依は真っ赤になって彼が脱ぎ捨てたトップスを拾い上げ、必死になって差し出し再び着させようとした。
屡薇はあっけらかんとして笑いながら、恥ずかしがっている彼女の反応に上機嫌となった。
「よくない!風邪引いてもいけないからちゃんと服は着てて!」
真依は恥ずかしくて顔を逸らしながら、ひたすらに服を差し出して、
「あれ〜?真依さん、何か反応が初々しくね?」
急接近をした屡薇は、服を差し出している腕ごと彼女を抱きしめ吹き掛けた。
「そういうの見せられると……燃えちゃうんだけど、俺…」
「おっ……お酒くさい……」
思った以上にアルコールのにおいはしていなかったが、服を手放した真依は彼を押し退けようとする。
直の体温が伝わりくることにドキドキしっ放しで、そうせずにはいられなかった。
「ほんとはそんなに酔ってねぇよ、」
くすくすと笑う屡薇は、彼女の髪を撫でて耳へとかけさせると、
はむっ…
と耳たぶを甘噛みして、悪戯っぽく投げ掛けてきた。
「どうしよっかな、美味しそうだから咬んじゃおうかな……」
是非とも!と返したい真依は、ごくりと息を呑んだ。
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