※※第225話:Make Love(&Eagle wings).132
学園祭についても着々と進みつつある、土曜日の夜のお話です。
「あのさあ、姉ちゃん、おれ困ってることがあるんだけどアドバイスちょうだい。」
こけしちゃんの部屋にて、何だか妖しいタイトルの漫画を読んでいた姉の服をくいくいと引っ張って、司が声を掛けてきた。
ちなみにノックは、していない。
「あのねぇぇ、司ぁ、お姉ちゃぁんはねぇ、今くんずほぐれつの状態にいるからぁぁ、」
これから漫画ではまさにイイトコロへ突入するところだったこけしちゃんは、ニコニコと弟を軽くあしらおうとした。
すると、聞く耳を持たずに司が持ち掛けてきた相談とは、
「もうすぐ慎くんの誕生日なんだけど、なにをプレゼントすればよろこんでくれるかなあ?」
こけし姉さんにとっては食いつかずにはいられない内容だったのである。
BLであればしっかりとどこら辺まで読んだのかを把握できているこけしちゃんは、ぱたんと漫画を閉じてからじつににっこにことアドバイスをしてあげた。
「司をプレゼントすればぁ、慎くぅんは喜んでくれると思うよぉぉ?」
…――――――さすがはこけし姉さん(アドバイスの視点にも抜かりはない)!
「えーっ!?おれをプレゼントしても慎くんはよろこぶわけないじゃん!」
「わかってないなぁ、司はぁぁ。」
司は姉の返しにひたすらびっくり仰天し、この鈍さはなかなか将来有望なネコであるとこけしちゃんは確信した。
じつのところは、アドバイスはあまりにも的確すぎると言うね。
「とりあえず肩たたき券あげるから、姉ちゃんもいっしょに作ってよ。」
「司ぁ、肩はねぇ、叩くより揉むほうが効果的なんだよぉぉ?むしろお姉ちゃぁんとしてはぁ、お尻揉み揉み券のほうがぁぁ……」
「そっかあ、じゃあ肩もみ券にする!」
姉の腐的な願望を無邪気さで流した司は、勝手に姉の部屋のなかで肩もみ券を作れそうな道具を探索し始めた。
実の弟の前なのだから、こけし姉さんにはさすがにそろそろ自粛をしてほしいところでもある。
しかしながら、こけしちゃんはにっこにこが止まらない様子で、
(うんぅぅ、慎くぅん、ここは是非ともぉ、肩を揉ませている最中に押し倒すんだよぉぉ?)
内心では念力で、慎くんへのアドバイスを送っていた。
「姉ちゃんの部屋って、マンガがいっぱいある!」
「司にはまだ禁断の果実だからぁ、手を伸ばしちゃダメよぉぉ?」
「言ってることがおれよくわかんなーい。」
妖しいタイトルがずらずらと並ぶ本棚を眺める弟を姉がたしなめ、司は首を傾げると再び道具の探索を開始した。
呆れ気味に大欠伸をしたゲイちゃんは、優雅にこけしちゃんのベッドのど真ん中を独占していた。
……どうやらもうすぐ慎くんの、お誕生日もあるようです。
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