※※第224話:Make Love(&Internal).131
わんこたちのお散歩も終えてからは、夕食の準備を薔がしながらナナはお勉強に励んでいた。
お月様の落書きを彼に見てもらうことにわくわくしているためか、思いの外勉強ははかどり、ご飯もたらふく戴くことができました。
「……こいつはあれだな、随分と丸が歪んではいるが、黄色と見立てりゃまさにパラオの国旗だな。」
「はいーっ!?」
そして答え合わせという名の解読を終えてからは、月(満月だったようだ)が描かれているのだということを知らない前提でナナが何をノートに落書きしたのか薔は当てに入った。
色がもう、月と知らない前提にも拘わらず黄色に見立てられちゃってますけど。
ちなみにパラオの国旗の黄色い丸は月をイメージしてあるそうですので、強ち間違ってもいないと言う。
「パラオは、聞いたことはありますが……国旗なんて知らないですよ……」
ナナはまじまじと、自分で描いた月の落書きを眺めてみた。
パラオについては、聞いたことはあったようだ、そもそもナナのことを改めてヴァンパイアとして考えれば行ったことがあってもおかしくはない。
ノートに視線を落とし、こんなふうに落書きをゲーム感覚でするのも楽しいなと彼女が考えていると、
ちゅっ…
またしても不意討ちで、覗き込むようにしてキスをされてしまった。
外よりも断然密に、近づいた心地よい香りにドキッとなり、やわらかく触れあったくちびるはすぐに放されていった。
テーブルの前に並んで座って、伝わる体温も甘い刺激となった。
「き…っ、キキキっ……キス…っ、したくなるような顔っ、してましたか…っ!?」
耳まで赤くして、ナナは慌てふためき彼を見た。
「横顔がな、」
テーブルへと頬杖を突いて、彼女を見ていた薔はくすっと笑うと、
ふわっ…
とあたまを撫でて、どこか妖しく言葉にした。
「つうか今は無性に……えっちしたくなるような顔してんぞ?」
「え…っ?」
ナナにはそれがどんな表情なのかよくわかっていないのだけど、彼にキスや甘さでしばしば触発されて疼いていたせいなのか。
そもそも彼が、我慢できなくなっているのか。
あたまを撫でていた手は、頬へと滑り落ち、
「もっとキスすんのは、ベッドへ行ってからにするか?」
くちびるを近づけたが敢えてキスはせず、薔は彼女へと確かめた。
「あ…っ、……はい……」
頬をゆびが伝うだけで火照って、ナナは素直に頷くことしかできなかった。
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