※※第221話:Make Love(&Bawdy).129








 「白いお粥ができましたーっ!」

 かなり遅めの夕食となりましたが、この夜、ナナは率先してご飯を作ってみた。
 すっかり治ってはいても薔は大怪我を負った後で、媚薬も効いていやらしくなったりしちゃった後だということもあり、安静にしているよう言い聞かせた彼女が丹精込めてお粥を作ってあげたのだ。
 花子が見守っていたこともあり、奇跡的に立派な白いお粥が完成した。



 「そうか……黒くなかったのか、おまえすげえな?」
 感心している薔のおでこにはなぜか再び冷えピタが貼られており、彼はベッドに横になりながら消え入りそうに告げた。

 「でももう俺は……ダメかもしんねえ……」









 「えええええええええ!?ダメですよ、何をおっしゃってるんですか!?」
 顔面蒼白となったナナは、ナイトテーブルのうえに土鍋を置く(鍋敷き……)。
 どこらへんがもうダメなのかが、まったくわからず泣きそうになっている彼女の前、薔は神妙な雰囲気で瞳を閉じると、

 「たぶん……おまえの絵を見たら元気になるな。」

 と、言ってきた。






 「……フッ、」
 「あああ!思い出して笑わないでくださいよーっ!」
 彼はただ彼女をからかっただけでした。
 真っ赤になったナナは憤慨しているように見えて、じつはめちゃくちゃ幸せすぎて喜んでしまっている。


 そして愛のお粥は、お披露目となり、

 「ほんとに白く作れたんだな、」
 「食べさせて差し上げます!」
 「おまえをか?」
 「お粥をですよ!」

 ナナは率先して、すっかり元気になった(媚薬効果継続中も元気ではあったが)薔へとお粥を食べさせてあげたりした。


 「……なんかすげえ、甘くねぇか?」
 「薔に元気になっていただくために、お砂糖入れてみました!」
 「ふーん……まあ、今まで食ったことがねぇほどに…美味ぇよ、ありがとな?」
 「良かったですよーっ!」

 ……土鍋に作ってありますが。
 砂糖を入れたのに無闇に焦がしたりせず白くできたことが奇跡だったようだ。
 ナナはこけしちゃんから改めて、お粥の作り方を教えてもらおう。


 “やっぱりこれが一番です…”
 砂糖入りのお粥については、ご主人さまのことが心配だったが、花子も一緒になって寝室でご飯を食べていた。










 …――――闇の根源である竜紀でさえ、

 悪夢は思いもよらぬ方向へ突き進んでいることは、知らずにいた。


 ふたりの愛の深さを、知らずにいたのだ。














  …――No one knows that.

[ 371/535 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る