※※第217話:Make Love(&Seek).126
「それなら素直にキスを強請りゃ良かったろ?」
ナナが酔っているのだとわかれば、薔はチョコを味わっている場合ではなかった。
彼は意地の悪い微笑みで、頬を火照らせた彼女を誘う。
誘いあう、視線が交わる。
「だ…っ、だって…っ、」
さらに瞳を潤ませて涙目となったナナは、何か言い訳をしかけたが上手い言い訳も思いつかなかったようで、
「……おねだりしても…っ、良かったんっ……ですかぁ…っ?」
スカートを掴みながら上目遣いに、正直に聞き返してきた。
「聞き入れてやれるか、焦らすかは別として……おまえのおねだりはすげえ可愛いからな、」
ゆっくりと彼女の髪を撫でるとあたまの後ろへ回し、引き寄せながら薔はナナへと近づいた。
「見せてくれんのは全然構わなかったぞ?」
要するに、彼次第と言うことだ。
まずは吐息が触れあってから、くちびるとくちびるはやわらかく重なった。
「ん……」
ナナは甘やかな声を漏らし、そうっと吸われながらくちびるは放される。
髪を撫でる手つきはしなやかで、吸われて弾んだくちびるはすぐにまた重なりあい今度はより濃艶なリップ音を響かせた。
上唇が吸われながらエロティックに視線は絡みあい、また重なりあったくちびるのあいだ舌先が触れあって、ナナはびくんっと躰をふるわした。
次には下唇がそっと吸われて、吐息が交ざりあい、くちびるから熱は誘い出されてゆく。
「舌伸ばして……」
頬を撫でて、くちびるが動くたびに微かに触れあう距離で薔は囁く。
「ん…っ、は……っ、」
ナナはうっとりと彼を見つめながら、言われた通りに舌を伸ばした。
…ッ…ちゅくっ…
「ん…っんっ、」
艶かしく舌と舌は絡みあって、吸いつくように濃いくちづけをされる。
キスの味が甘過ぎて、チョコレートの味はとうに忘れてしまっていた。
片手で抱き寄せられた腰を撫でられ、恥ずかしい場所がキュンキュンと痺れてしまう。
ナナは彼の服をぎゅっと掴み、蕩けそうな舌を夢中で絡めた。
「……っは…っ、」
いったん、少しだけくちびるを放した薔は、腰から這わせた手で彼女の太股を撫でながらスカートをたくし上げる。
「あ…っん、だ……めっ、」
すでにびしょ濡れの恥ずかしさに、上擦った声でナナは訴えたのだけど、
フッ――…
と笑った彼は再び濃密にくちびるを奪ってしまった。
「説得力ねぇな……煽ってるだけだぞ?」
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