※※第217話:Make Love(&Seek).126
夕食を終えて後片付けも終えてから、わんこたちはお部屋で熟睡タイムに突入し、ナナはリビングにて彼をお誘いしてみた。
「薔っ、チョコレートがあるんですけど、一緒に食べませんか?」
と。
「どうしたんだ?これ、」
入手ルートについてが気になり薔の雰囲気は険しくなりかけたが、
「こけしちゃんからもらったんです、以前、薔とわたしが一緒にこけしちゃんと醐留権先生を助けに行ったときのお礼だそうです!」
甘いもの欲しさにナナはさっそくチョコレートを頬張っていた。
ラッピング袋に詰め合わせて渡されたチョコレートは、個包装でそれぞれ開けてみないと中身はわからない仕組みとなっている。
「そうか、なら何か飲み物でも持ってくるか。」
とりあえずこけしちゃんから渡される品はノートでなければ大丈夫なようで、あとお礼の名目も名目なので薔の機嫌は回復した。
彼は美味しそうにチョコレートを頬張る彼女が可愛かったので、率先してお茶を煎れに行ってくれました。
お揃いのマグカップに薔があったかいお茶を煎れて持ってきてくれる頃には、ナナはすでに8つほどを頬張ってしまっていた。
キスに飢えているが故に、チョコレートを食べないとどうしようもなかったのかもしれない。
「ほとんどおまえが食ってねぇか?」
そんなに美味しいのであれば全部彼女が食べても良かった薔は、笑いながら目の前のテーブルにマグカップをふたつ置き隣に並んだ。
その瞬間、
「んああ…っ!すみませんん…っ!」
慌てたナナはやけに火照った表情で泣きそうになって、彼にぺこりと頭を下げて謝った。
「薔に…っ、チューしていただけないので…っ、チョコレートをいっぱい食べちゃってましたぁ…っ!」
おまけにずっと思っていたことを、素直に告げていた。
潤んだ視線で頬が赤くなっているのは、頭を下げる前にばっちり窺えました。
「……あ?」
この状況下でのこの返しは、彼なりの動揺と捉えてください。
「あとはどうぞ…っ、薔が……召し上がってください…っ、」
顔を上げたナナはウルウルと未だ泣きそうな表情で、甘ったるい声でチョコを勧めてくる。
「………………。」
彼女の様子からして悟った薔が念のため、チョコレートの包装袋を確認してみると、
LiqueurだのWhiskyだのの文字が、綺麗な字体で印刷されておりました。
ナナの酔いの回りは異様な早さすぎて、弱すぎるが故の賜物なのかとにかく表彰してもいいレベルかもしれない。
こけしちゃんから手渡されるものは、ノートでなくてチョコレートなら上等であることが確定した。
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