※※第216話:Make Love(&Sex aid).20








 ソファまで、垂れる蜜に艶めいて、後ろ手に縛られているためネクタイの匂いを心行くまで堪能するのは今は不可能だった。
 それでも、縛られているということに快感を覚える。


 ヴヴ…ッ…――…

 「んは…っあっ、うう…あっ、」
 時には自分で寸止めもして、イかないようにと踏ん張るナナは彼だけに恭順だった。
 我慢できないくらいだけど、薔に言われたことが絶対なのだ。

 こっそり一度イったとしても、彼なら簡単に見抜いてしまうだろう。
 そうしたら彼をお預けされてしまうかもしれなくて、ナナはひたすらイかないように堪えた。
 ずっと玩具を止めていれば手っ取り早いのかもしれないが、振動していると気持ちがいいのでそれは出来はしなかった。

 時間の感覚が麻痺をしてゆく、どれくらいが経過したのかよくわかっていないのだけど、言われた通りに一度もイっていないのは確かだった。
 アナルはギュウギュウと、バイブを締めつけている。



 「は…うっっ、」
 ビクンッ……とふるえたナナがまた、振動を最弱まで緩めて堪えた瞬間に、

 「ただいま、」

 わんこたちのお散歩を終えた薔が、待望の帰宅をした。


 「お帰りなさいませぇ…っ!薔ぅ…っ!」
 ナナは彼の帰りが嬉しすぎて、泣いてしまった。
 やはり良い子は見ちゃいけませんの心意気で、わんこたちは仲良くすぐにお部屋へと向かう。

 「イかずに我慢できたか?」
 ソファの前にしゃがんで、あたまをぽんぽんしながら微笑を浮かべる薔は確かめて、

 「はい…っ、」

 泣きながら頷いたナナは、ゆびでそっと涙を拭われた。



 「いい子だな……ご褒美として俺が飯作ってる間は我慢せずにイっていいぞ?」
 湿った頬にキスをして、薔は立ち上がる。
 よくよく考えればこれから夕食の準備だが、ナナはお手伝いをしなくてもいいようだ。
 むしろ、対面式ということもありきちんと見られてしまう嬌態で、彼を愉しませるのが使命のようだった。

 「おまえのえっちで可愛い姿…いっぱい見せて欲しいな?」
 ちょっと首を傾げて甘い声を落とすと、薔はキッチンへと向かって行った。

 今夜のメニューは何でしょうか……とか考えながら、ナナは玩具の振動を二段階上げて躰を捩った。

 「はっ…ああんっ…っ、」





 アナルは淫らな熱を帯びて、見られていると恥ずかしくてどうかしそうなのに止められない。
 それは彼が自分の躰を、こんなにもエッチにしてしまったからに他ならない。
 だからナナは彼だけのために、乱れて、濡れて、感じて喘ぐ。

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