※※第214話:Make Love(&Allure).125








 「なんか、面白いカップルがいるんだけど……」
 「もうすぐ挙式なのかな…?」
 「だとしたらめでたいね…」
 友人の結婚式の披露宴へと向かう途中の、おめかしした三人組の女性がサングラスとマスクをしたカップルの姿に気づいた。
 ふたりには特に、イチャついているだけで式場へと足を踏み入れる様子はない。


 「うーん、スタイルとか雰囲気は何か……抜群だから、あれでサングラスとマスク取ったらめっちゃイケメンとかだったら、あたしも現実に夢持って全力で婚活するわ。」
 「少女漫画じゃあるまいし。」
 「現実は厳しいもんだよ〜?」
 三人組の女性は笑いながら、わりとシビアに世間を見据えていた。
 ご祝儀として出ていくお金も、なかなかばかにならないし。










 「暑いのでこれもう、外してもいいですか?」
 「おい、訊く前に外すんじゃねぇよ。」
 変装として提案したのはナナだったが、いかんせん気温があたたかかったのでサングラスとマスクは外させてもらった。
 着けさせておきながら彼女が先に外してしまったために、薔はちょっとご機嫌ななめでサングラスとマスクを外した。

 「うはぁあ!薔が眩しいです!」
 「おまえのが眩しいだろ。」

 太陽の下、互いがこんなにも眩しく見えるのは単なるサングラス効果ではない。






 「………………!!」
 三人組の女性は、現実は決して捨てたものじゃないという素晴らしい奇跡を目の当たりにした。
 ご祝儀ももうちょっと多めに包んであげても良かったなと、そんな穏やかな気持ちすら三人の心には芽生えていた。

 「めっちゃとかいう次元の話じゃなかった…!そうだね、現実にも夢を持とう…!」
 「何これ…!?私、泣けてきた…!」
 「あたし、婚活に励む……そして式は記念にここで挙げる…!」
 ヤラセを疑うような心も、三人からは完全に払拭されていた。



 と言いますことで、結果的にナナと薔は、ただ変装して眺めにきただけの結婚式場にさりげなく貢献する形となった。




 「とりあえずそこで待ってるか?」
 「そうですね!」
 つゆ知らずのふたりは近くのカフェでお茶でもしながら、ハリーと葛篭先生が出てくるのを待つことにした。
 となるとハリーさんは本格的に、打ち合わせ中には何の助っ人もないうえに、ナナ母はただ娘と娘の彼氏に濃厚に結婚式場を眺めさせに行かせたかっただけにしか思えない。

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