※※第214話:Make Love(&Allure).125
「はぁ……」
葛篭は溜め息をついた。
式の打ち合わせの最中にだけはつかないようにと心がけていたのだが、無意識のうちに溜め息をついてしまった。
「実穂子サンモ、マリッジブルーなのデスカ〜…?」
「“も”……?」
胡散臭いほどにしんみりとした表情で、ハリーが問いかけてくる。
葛篭は自分では、これがマリッジブルーなのかしら?という漠然とした感覚で、憂鬱な気分にさせている原因というか溜め息の要因は“ウェディングドレス”についてだった。
自らの意志で、年齢も考慮して純白は控えたのだけど、やっぱり彼の願いは聞き入れてあげたいし本心では憧れの純白のウェディングドレスに身を包んでみたいのである。
プランは立ててしまってあるが、心はまだ迷いを抱いていた。
そして肝心のハリーは、男を見せるべく、
(ソッ、ソンナに嫌がんならいっソ、しろしょうぞく着せてやろうカ…!?)
例の台詞を懸命に脳内でおさらいしていた。
よって、ウェディングプランナーさんのお話は、憂鬱な気分となっている葛篭先生のほうが遥かにしっかり聞いていた。
ハリーは言うタイミングがいまいち掴めず、今日は親友の妻の話だと親友の娘とその旦那(ではまだないけど)が助っ人に駆けつけてくれるようだが今のところそんな気配はまったくなかった。
葛篭は式の話に真剣に耳を傾け、鼻おじさんはやたらとそわそわし始めている。
「ハリーさんと葛篭先生は、ここで結婚式をするんですかぁ!」
サングラス越しに見える結婚式場の外観を眺めながら、ナナは感嘆の声をマスク越しに漏らした。
レンガで囲まれた花壇には、ラベンダーやカーネーションやマーガレットなど、彩り豊かな花々が穏やかな風に揺れている。
のが見えるのも勿論、サングラス越しである。
「なかなか近くていいですね!」
電車で(目立っていた)一駅ぶんのところにあったために距離という観点からナナが感想を述べると、薔はマスク越しにもきっぱりと返した。
「妥協はすんなよ?どこであろうと、おまえが望むとこで俺は挙式してやるからな。」
「ぶぉはあああ!?」
本日は特にブライダルフェアなども開催されてはおらず、そもそもナナ母から前日に依頼されたふたりは本当に門の外から式場の外観を眺めるだけとなっていた。
ハリーさんは式場内にいる限りは、どうやっても自分でなんとかするしかない(ならほとんど助っ人にならないのでは……)。
「今の台詞をおっしゃるお顔を、ちゃんと見たかったですよーっ!」
「隠させたのはおまえだろーが。」
おまけにこの状態なら、サングラスとマスクは着用しなくても良いと思われます。
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