※※第213話:Make Love(&Fascination).124













 「うん、わかった、任せて!お母さん!」
 夕食タイムも済んだ土曜日の夜、母と電話で話していたナナは元気よく拳を固めて頷いた。
 無論、電話の向こうには見えておりませんので、薔は彼女の仕草を見ているのが面白かった。

 『お願いするのが前日になっちゃって、ごめんなさいね?それじゃあ、ナナ、今夜も娘を濃厚によろしくと薔くんに伝えてちょうだいな。』
 「おおお母さん!?」
 電話口のバックでは演歌が流れているようで、決め台詞で決めたナナ母はおそらく娘は真っ赤になっているであろうと思いながら電話を切った。
 野暮が嫌いなナナ母は、およそ3分で要件を伝えて「濃厚」を付け足したのだった。




 「あのっ、薔っ!」
 「なんだ?」
 電話を切るとさっそく、ソファに並んで座っていた彼へとナナは元気よく申し出た。

 「今夜もわたしを濃厚によろしくお願いいたします!」

 と。
 なぜいつも母からの言伝てである旨を伝えないんだ。




 元気よく来られた薔は、ムラッときちゃったようで、

 「さっそくヤるか?濃厚なやつ、」

 ドサリと彼女をソファへ押し倒した。





 あ――――――れ――――――――っ!

 とか言ってる場合じゃない!

 ナナが心で改まったために、お馴染みのノット悪代官イエス彼氏のくだりが挟まれることはなかった。

 「ちょっと待ってください…っ!わたくしまだ、お伝えしていないことがあります…っ!」
 「何だよ、早く言えよ、」
 彼女が必死になって制止するあいだにも、薔は耳もとにやさしくキスとかしてくる。

 「ん…っもっ、あの…っ、……って、こらですよ…っ!」
 「あ?」
 感じながらもナナは、真っ赤っかになり声を張り上げた。

 「お母さんからのお願いなんですが、明日、わたしと一緒に結婚式場に参りましょう!」










 「……下見にしては随分と早くねぇか?」
 「はいーっ!?」
 彼女を押し倒していた薔は、ふたりの未来を見据えたお誘いに捉えたようだ。
 ナナはここぞとばかりに母からの言伝てであることを引っ張り出してきたが、それも相俟って目的は将来の下見であるようなニュアンスになっちゃっておりますので。

 「ちち違いますよ!まだ純白のドレスについて何にも説得できていないハリーさんが、ちゃんとしろしょうぞく?のことを葛篭先生に言えるのか、見張っていてほしいのだそうです!薔は何という勘違いをしてらっしゃるんですかーっ!?」
 耳から蒸気が沸いて出るくらいに照れるナナが、慌てふためきながら説明をすると、

 「………………。」

 黙り込んでしまった薔はやや不機嫌そうにもなってから、ぽすんと彼女の隣に顔をうずめた。

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