※※第211話:Make Love(&Sex aid).18







 「ふぉふぇっふぁふぁ(※ごめんなさい)……」
 入れ歯を手繰り寄せながら、加茄太郎おじいちゃんは素直に謝った。
 「とりあえず向こうの部屋でお尻ぺんぺんだのう。」
 「ふぁい(※はい)……」
 夫の着物を引っ張って立たせ、気を利かせたみつえは別部屋でスパンキングと決め込むようだ。
 洋子のお尻ぺんぺんは姑から引き継がれているものだったのか。


 「お騒がせしてすみませんでしたねえ。」
 打って変わって淑やかになったみつえおばあちゃんは、一同へときちんと謝った。


 そして、

 「要?おばあちゃんはね、お前さんが男の子を好きでも全然構わないから、そこらへんの理解はちゃんとあるつもりだからね?」
 「いや、あの、おばあちゃん……」
 典型的なおばあちゃん子だったという孫へと、優しく声を掛けて巾着袋から取り出したお小遣い(千円)まで渡してくれた。
 どうやら一部始終を聞いてはいたようだ。

 「こんっな最高にきれいなお嫁さん……お嫁さんでいいのよね?がうちに来てくれるなんて、おばあちゃんも嬉しいわあ。」
 「あの、おばあちゃん……」
 お小遣いまでもらってしまった醐留権の声はだんだんと小さくなってゆく。
 こけしちゃんはおばあちゃんともうまくやっていけそうな予感に満ちる。
 ナナはこのとき、“最高にきれいなお嫁さん”とはこけしちゃんのことだと信じて疑わなかったために特に何も言い返しはしなかった。
 期待していた薔の機嫌は悪くなる。


 「でもね?要、」
 やがてうなだれている夫を連れて部屋を出ていく際に、満面の笑みでみつえおばあちゃんは言い聞かせた。

 「くれぐれも、まだ生徒さんのうちに手を出すようなことだけはしないようにね?」











 「…………はい。」
 眼鏡がずり落ちそうになった醐留権は、ひとまず頷いておいた。
 おばあちゃんがいくら優しく言い聞かせようとも、すでに何度も手を出しちゃっておりますので、隣でめくるめく妄想に瞳を輝かせているにっこにこの彼女に。



 みつえは加茄太郎を仕置くべく部屋を後にし、祖母の登場があるんだったらナナの機転を利かせた「醐留権先生は男の子が好きなんです」宣言はなくてもよかったような気がしてならない。
 結果的に醐留権の祖父母は薔が嫁なのだと勘違いをし、本当のいずれ孫の嫁への好感度を上げまくったからオーライとするか。


 「そろそろ帰るぞ?」
 「はいっ!」
 ノロケやムラムラでラブラブできたナナと薔は、手を繋いでお散歩の帰り道へと就いた。








 「ゾーラ先生ぇ、」
 「な、なんだい…?」
 輝く瞳で見上げられた醐留権は千円札を手にしながら、こけしちゃんへと向かってなるべく爽やかに微笑んで見せる。

 「羚亜くぅんのセーラー服姿はぁ、胡桃沢先輩ぃが何とかしてくれると思うぅぅ。」
 「それもそうだね、さすがは桜葉……」

 …――――――これにて一件落着(か?)!

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