※※第211話:Make Love(&Sex aid).18







 「てことは、要の恋人は……DK!?」
 加茄太郎は驚きのなかでも、孫の恋愛事情について勘違いすることができたようだ。
 ※ちなみにDKとは:ダイニングキッチンの略とかではなく男子高校生の略である。



 そしておじいちゃんはまじまじと、この場に一人しかいない男子高校生を眺めてから、叫んだ。

 「この子ぉぉぉおお!?」
 「……おい、」
 「ちょっとーっ!見ちゃダメです!薔はわたしの薔なので!」









 わりとピッタリフィットな醐留権の眼鏡は、再びぽーんと飛び跳ねそうになり、

 (おじいちゃぁぁん……)

 こけしちゃんはさらに瞳を輝かせた。
 変態で卑劣で面倒なおじいちゃんではあるが、嫁入りした暁には和気藹々とやっていけそうな予感がしていた。

 「色っぽいし絶世の美人だから、おじいちゃん許す!」
 「おい、」
 「こらーっ!確かにわたしの薔は色っぽいですし、それは色っぽいですし美人すぎますがわたしの薔ですよーっ!」
 薔の肩に触れようとしたおじいちゃんの手を振り払おうとしたナナの手を掴んで引き戻し、薔がおじいちゃんの手を振り払った(ややこしい)。
 加茄太郎おじいちゃんは自分でも知らないうちに孫の彼女への好感度をぐんぐん上げてゆく。





 花子はお座りしたまま、大好きなご主人さまとその彼女と、変なおじいちゃんのやりとりを交互に見上げていた。
 豆は花子とまったくおんなじ動きをしている。

 事態はこのまま丸く収まりかけているのかがよくわからなくなってきた瞬間、

 「あ〜ん〜た〜、」

 部屋のなかにはどすの利いた女性の声が響き渡った。

 「何やっとんのじゃあ、ワレェ……」











 「おおお!みつえ!」
 加茄太郎はいきなりの妻の登場に、着物の裾を揺らしはしゃぎ始めた。
 仁王立ちしているみつえおばあちゃんとは、すらりとした老婦人で、紺の着物姿で薄紅色の巾着袋を下げている。

 ナナとこけしちゃんはポカンとポカァァンで、薔はそろそろ帰りたくなっており、醐留権は祖母の登場に心底安堵した。



 「ちょうどいいところに!いつ見てもみつえは惚れ惚れするほどの美女だのう!」
 着物の裾をひたすら揺らしながら、妻を称賛し駆け寄っていった加茄太郎は、

 ばちこーん!

 巾着袋でほっぺたをぶん殴られ吹っ飛んだ入れ歯と共に床にぶっ倒れた。
 巾着袋の中身は相当重いもののようで、爽快な音が屋敷の中へと響いていった。


 「アンタは大人しく仕事しとらんかい!うちの男衆ん中で唯一まともな要を、面倒なことに巻き込まんでおくれ!」
 みつえおばあちゃんは床に倒れている夫を見下ろし、憤怒の形相だった。
 言っていることはごもっともで、醐留権先生の家族のまともな人物の割合はちょっと増えたのかもしれません。

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