※※第211話:Make Love(&Sex aid).18
こけしちゃんは家に置いてきたBLさんたちが無性に恋しくなっていた。
醐留権は苛立ちながら祖父を邪険にしているが、おじいちゃんはまったくもってめげない。
「悠香ちゃんは、親孝行したくないの〜?したいよね〜?」
何がなんでもお父さんの名前を吐かせようと、こけしちゃんに親孝行の勧めという名の大金をちらつかせ本末転倒なことを加茄太郎が続けていると、
バンッ――――…!
突然部屋のドアが勢いよく開いた。
「こけしちゃん、大丈夫!?」
「あぁぁ、ナナちゃぁん。」
緊迫した様子の親友の姿に、にっこにこのこけしちゃんはおっとりと手を振った。
「こんばんはぁぁ。」
「こんばんは、こけしちゃん!元気そうでよかったよ!」
乙女たちはひとまず、夜のご挨拶。
「JKがもうひとり!」
瞬時に興奮した加茄太郎おじいちゃんだったが、自分が今にも血塗れになるかのような殺気を感じたために何となくの死に物狂いで興奮は抑えた。
長年生きてきたがこれほどまでの凄まじい殺気を感じたのは生まれて初めての経験だった。
「このアホじいさんは何を考えてるんだ!?結婚というのはしたい人同士がしたいときにするものであって、アンタがさせるものじゃないでしょうが!」
ビシッと加茄太郎を指差したナナは、怒りに任せて説教を始める。
花子と豆を従えている薔は彼女の怒っている姿とか言っていること全部が可愛くて仕方ない。
「今時のJKはしっかりしとるのう……」
自分より遥かに年上とはつゆ知らず、加茄太郎おじいちゃんは大感心した。
醐留権はいきなり現れた生徒たちとわんこの姿に、何度か眼鏡をくいっとさせている。
「それにっ、醐留権先生は、」
ナナは一生懸命に、加茄太郎をいったん思いとどまらせることができる上に親友をいっさい傷つけることはない言葉を導き出した。
彼氏とエッチしまくった効果で脳内は冴え渡っていたのかもしれない。
「男の子が好きなんです!」
「ええええええ!?」
度肝を抜かれたおじいちゃんは、腰を抜かすかと思った。
驚愕のあまり、顎も外れそうになる。
わりとピッタリフィットな醐留権の眼鏡は、ぽーんと飛び跳ねそうになり、
「ナナちゃぁぁん……」
親友の粋な発言にこけしちゃんはこれでもかというほど瞳をキラキラァァと輝かせ、攻められてもいい衝動に駆られた。
この場を丸く収めるための虚言に、ひたすら萌える。
「………………。」
彼女の発言の内容には呆れたが、機転を利かせた姿や思いやりはやはり可愛すぎて薔はナナを押し倒したくなっていた。
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