※※第211話:Make Love(&Sex aid).18








 リビングに戻った薔はわんこたちにつられてうとうとしかけていたナナを起こし、事情を説明した。
 ご主人さまが戻ったとたんに花子は目が爛々、豆は花子に便乗する。



 「ほおおお…!なるほど、お散歩の途中でこけしちゃんと醐留権先生を助けてくるんですかーっ!かしこまりました!」
 お散歩の準備万端となっているわんこたちの前、すぐに眠気が覚めたナナはすっくと立ち上がり気合いの敬礼をして見せた。

 「おい、出かける気になってんだからあんま俺を煽んじゃねえ、何なんだよ、その可愛さは。」
 「はいーっ!?」
 ただただ引いていた羚亜のセーラー服姿の後に、愛する彼女の敬礼という果てしない目の保養というかむしろ毒がきて、薔はムラッときちゃったようだ。
 真っ赤っかとなったナナは敬礼をしたままいったん仰け反る。


 「だいたいおまえは、常に可愛すぎんだよ、俺をおかしくさせる気か?どこまで俺の心を奪えば気が済むんだ?」
 「あのですね!薔っ!不機嫌そうにさらっともんのすんごく嬉しいことを、おっしゃらないでください!」
 「やだ。」
 「やだーっ!?」
 彼女が可愛すぎるという理由で、困っているのか薔は不機嫌となり、照れまくるナナは慌てふためきながらもお散歩の準備に率先して取りかかる。

 「はっ、早く行きましょうよ!」
 そして彼を促した。

 「いくって…どこにだ?」
 「もちろんお散歩ですよ!あと、こけしちゃんと醐留権先生を助けに行くんですよね!?」
 「おまえが可愛すぎてそっちはめんどくさくなってきちまった、」
 「どへえええええ!?こらですよーっ!」
 イチャイチャしながら薔も彼女と一緒に順調に、お散歩の準備をしてはおります。
















 ――――――――…

 (このくそじ……が羚亜を追い出してしまったのは、計算外だったな……)
 心で暴言を吐きそうになったゾーラ先生は、懸命に踏ん張った。
 着替え終えた羚亜のセーラー服姿をようやく彼女に見せてあげられるという、一歩手前で邪魔をされてしまったのだ。


 「婚姻届けの悠香ちゃんの証人の欄にお父さんの名前書くから、教えてもらえるかな〜?」
 「すみませんぅ、お父さぁんの名前が思い出せなくてぇぇ……」
 未成年者を勝手に孫と結婚させようとしている加茄太郎おじいちゃんは、ご丁寧に“桜葉”という判子まで用意していた。
 ニコニコとこけしちゃんはひとまず、一時的な記憶喪失を装う。
 最も110番が必要な場所は、ここだった。


 愛羅に断りもなく羚亜にセーラー服を着せたためにばちが当たったのかと考え始めている醐留権は今現在、撮影会に誘った彼女のこけしちゃんと一緒に自室に半ば閉じ込められている。


 「今日要と結婚してくれたら、老後まで快適な暮らしを保証するよ!悠香ちゃんのご両親にお家買ってあげてもいいよ!」
 「はあぁぁ……」
 おじいちゃんは説得に快適な暮らしと親孝行の勧めという名のお金をちらつかせ、こけしちゃんはそろそろ生返事になりつつあった。
 撮影するはずのセーラー服姿の羚亜は屋敷を追い出されてしまったがどうせ愛羅のもとへ向かったのだろうから、老後とか一軒家とかはこの際どうでもよく、こけしちゃんもいい加減おじいちゃんに鉄拳を食らわせたい衝動に駆られている。

[ 202/535 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る