※※第209話:Make Love(&Intersect).121
「屡薇くんさぁ、休みなら前もって言っといてくれないと!当日の朝連絡してくるとか、ほんと困るから!」
憤慨している真依はそれでも、エプロンを着け彼氏宅のキッチンにて昼食の準備に取りかかっていた。
リビングのほうまで、揚げ物の香ばしい匂いがしてくる。
本日は月曜日、運よくふたりの休日が重なったようだ。
朝、彼から連絡が来て、喜び勇んですっ飛んできたことは真依は絶対素直に言いません。
困る、という言葉の意味合いとしては、“一緒に過ごしたいから予定を入れてあったら困る”なのです。
「真依さん、俺どうせなら裸エプロンが良かったんだけど…」
「今言うことじゃないでしょ、それ!」
嗅覚を刺激される屡薇は素直に彼女へと聞こえるように呟き、真依は彼へと向かって180度の油をぶちまけそうな勢いだ。
「あ、ごめん、じゃあ5分後くらいにまた言ってみる…」
「二度と言わなくていいよ!」
屡薇はお構いなしに、何だかんだで照れているのだと知っている彼女をからかう。
今日はお隣さんが花子を預かっているようで(真依がいるからご飯なども大丈夫)、寛ぐわんこたちはフローリングの上で寄り添ってウトウトしていた。
ぽかぽかとした陽気が心地よい、レースカーテンもほんのり青みかがって見えるくらい本日の空は抜けるような青空だ。
屡薇のたっての要望で、昼食は彼女特製の唐揚げだった。
「つまみ食いしてもいい?」
「え?まだすごく熱いと思うけど……」
「そんなに真依さんの躰熱くなってんの?」
「もう屡薇くん、黙ってて!」
真依は唐揚げのことだと思い少し困惑気味に返したのだが、屡薇がつまみ食いしたかったのは彼女のことだったようだ。
刹那、真依はまだジュージューと油が弾けている唐揚げたちを彼氏へとぶん投げてやりたくなった。
わんこたちは相も変わらず、時折美味しそうな匂いに鼻をひくひくさせたりしながらも、寛ぎまくっている。
「ねぇ、真依さん、裸エプロンはまだ〜?」
「黙っててって言ったでしょ!」
もはや屡薇が心待ちにしているのは、唐揚げよりも彼女の裸エプロン姿だった。
真依の憤慨というか恥ずかしさは頂点に達しそうである。
「真依さんの裸エプロンが見れたら俺、曲作りすっげえはかどるんだけどな〜。」
わざとらしく屡薇は、ソファのうえでゴロゴロしながらバンド活動を引き合いに出す。
「バンド活動は真面目にしなさい!」
まんまと乗ってくれるようなことはなく、真依は叱咤激励をした。
……しょぼん。
とする屡薇の姿には裸エプロンになってあげてもまあ良かったのだけど、フルフルと首を横に振った真依は思い直しキャベツの千切りにも取りかかったのだった。
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