※※第206話:Make Love(&Public sex).3
「ん…っ、……だって…っ、」
彼のキスが気持ちよすぎて、もっとしてほしくて堪らなくて、それでも大きな声で口にはできないからナナは瞳を潤ます。
「だって……気持ちよすぎるから?」
彼女の顎をクイと持ち上げ、薔は再びキスを落とす。
今度は持った顎を下へ引かせて、さらに深く舌を入れてくる。
動きは妖艶なまでに柔和で、絡み合う熱は濃厚だ。
「は…っ、ん…っ、」
彼の言う通りだった、見透かされている、そのことにも興奮してナナは腰が砕けてしまう。
薔は始めから彼女を支えるように、片手で腰を抱いていた。
髪から滑り落ち、ゆびは頬を伝う。
こんなところで、いつだれが遊びに来るともわからない場所で、危うい快感の虜となる。
そっと舌を吸って放され、またしてもくちびるを触れあわせて舌を絡めあう。
口内で響かせている音が、くちびるで響かせる音と共にいやらしく聴覚をも愛撫していた。
「ん…っン、……っん、」
上顎から歯齦へと舌を這わされ、上唇を吸ってからくちびるは放される。
キスはまだまだ止まらずに、ナナはさらに強く抱きしめられなめらかに舌を口内へと滑り込まされた。
「んんう……っん、ふ…っ、」
舌が何度も重なって、そっと回すように触れあわせて、唾液を絡め取る。
甘くて心地よい匂いに、自分だけのその香気に、ナナは目眩を覚える。
肌を撫でる風など取るに足らない、ただ、彼のキス、ゆびにぬくもり、愛撫だけを感じている。
「は……っ、」
下唇をやさしく吸うようにくちびるが放されてゆくと、唾液は細く糸を引いて日陰であろうとも煌めきを見せ、
……ちゅっ……
「……ん…っ、」
くちびるを包み込むようにくちづけられ、ナナの躰は濡れて淫らになってしまっていた。
このままでは、帰ることができない、彼にたくさん触れて、乱してもらわなければ――――…
「返事は待つまでもねぇみてぇだな?」
彼女の反応に悪戯な笑みを浮かべて、息を乱すくちびるにくちびるを寄せると薔は吹き掛けた。
あたたかい吐息で、艶めかせたくちびるをなぞる。
「それに俺ももう待てねぇんだよ…煽ったおまえの責任だぞ?」
またしても吸いつくようなキスをされて、ナナは躰の奥までが我を忘れて疼くのをしかと感じていた。
彼の声まで、肌を愛撫してゆく。
いつの間に煽ってしまったのか、わからなくて、無我夢中でディープキスをむさぼっていた。
[ 130/535 ][前へ] [次へ]
[ページを選ぶ]
[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]
戻る