※※第206話:Make Love(&Public sex).3
「終わった…!」
達成感にも満ちるナナは、机へと突っ伏した。
疲労は見事なまでに微塵も感じてはおらず、彼女の心は弾んでいる。
四日間の中間テストは何とか終えることができた模様です、となると本日は木曜日でございます。
「ナナちゃぁん、今日はやけに気合いが入ってたねぇぇ?最終日だからぁぁ?」
ニコニコのこけしちゃんが、突っ伏している親友へとおっとりと声を掛けてくる。
「あああ!こけしちゃーん!聞いてよ!」
ガバリとすぐさま顔を上げたナナは、輝く瞳で、
「今日はこのあと、薔とデートなんだよ、夕月さんの写真展に一緒に行くんだ!」
と声を張り上げた。
だから心が弾んでいたのか。
最終日の今日は二教科のテストが済めば放課後となっております故。
「ということはぁぁ、夕月さぁんに薔くぅんはぁ、美術館の男子トイレへと連れ込まれちゃうのかなぁぁ?」
「こけしちゃん!?」
今度は男同士での妄想をおっ始めたこけしちゃんが白いあの美しいお花の世界に瞳を輝かせ、びっくり仰天のナナはちょっと仰け反る。
ちゃっかり聞こえていた腐女子隊の隊員たちも、目をギラつかせている。
こけし姉さんよ、それは是非とも禁断なノートの中でお願いします。
「そうだぁぁ、ナナちゃぁんから薔くぅんをお迎えに行けばぁ、喜ぶんじゃないかなぁぁ?」
ここで、こけしちゃんはにっこにこと提案してみた。
いったん腐的な妄想を止めたように見せかけながらも、脳内ではめくるめくボーイズラブを繰り広げてはおります。
「こけしちゃんさすが!そうするよ!」
親友の提案に感心したナナは、すぐさま帰り支度に取り掛かろうとしたのだが、
「帰るぞ?ナナ、」
先を越されたようだ。
「まだ教室で待っててくださいよーっ!」
「あ?」
気を利かせて先にお迎えで喜ばせようと思っていたナナはつい、彼氏を再び教室へと戻らせようとした。
「ここはおまえの教室だろ?つうことは俺の教室でもあんじゃねぇのか?」
薔は立派に彼女を諭し始める。
言い分はともかく、説得力には満ち溢れております。
「そう言われてしまうと何だかすみません……わたしからお迎えに行って、薔を喜ばせようと思ったんですが……あと、今日は帰るのではなくてデートに行くんですよね?」
とたんにもじもじしてしまったナナは謝るしかなくなり、上目遣いに彼を見ながらペンケースに筆記用具をしまった、帰り支度はそこから始めなければならなかったようだ。
「……そういうことなら待っててやる。」
「えええ!?」
上目遣いでもじもじしている彼女が可愛すぎたために、お迎えに来させるべく薔は2ー1の教室へと戻っていった(2ー5も彼の教室らしいが)。
こけしちゃんは黙って、にっこにこもいいところで、
(コントとかをしてらっしゃるわけではないんですよね?)
テストが終わり開放的になっている周りは惚れ惚れと、イチャつきの一部始終を眺めていた。
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