※※第202話:Make Love(&Cuteness).119
そこからは夕月(と言うか如月か?)に送られ、ナナと薔は帰宅することとなった。
そして、如月はやはりプロテインがどうのこうので同席は遠慮をし、
「えっ!?今夜は夕月さんがご飯を作ってくださるんですかぁ!?」
本日のディナーは夕月の手料理となりそうです!
「薔の作ったやつほど美味くはねぇと思うがな。」
と言いながら無造作にシャツの腕捲りをして、すでに夕月はキッチンにて準備を始めている。
「いやぁ、それはもう、薔の作ったご飯はぜんぶの世界で一番美味しくて最高ですが、夕月さんが作ったのも美味しいと思いますよ!」
「おまえそれあんま、フォローになってねぇよ。」
ナナはさりげなくもなくノロケて、薔は笑いを堪え、夕月は笑い出す。
夕月の前では特に、料理上手のイメージを隠そうとはしないようである。
「つうか、夕月さんも一緒に散歩には行かねぇのか?」
と、薔は夕月も、花子と豆の散歩に誘ったのだが、
「俺は夕食の支度をしてるから、ナナちゃんとゆっくり行ってこい。」
夕月はお散歩には、遠慮して一緒には行かないようである。
「さっきは邪魔したくせにな…」
「ははは、それについてはほんとに悪かったな?」
薔は心なしかふてくされているのかちょっと不機嫌そうに言い返し、夕月はただ楽しげに笑っている。
やはり薔は夕月の前になると、とたんにしおらしくなってしまうようで、
(かっ、かわいすぎる…!)
ふたりのやりとりを眺めながら、ナナは終始彼氏の姿にキュンキュンしちゃっていた。
バタン――――…
余程の信頼の証であろう、夕食の支度は夕月に任せて、薔はナナと一緒に花子と豆のお散歩に出かけて行った。
ただ純粋に、料理のためだけに部屋に残った夕月だが、
「そうか…」
壁に飾られてあった写真の変化に、穏やかな笑みを見せたのだった。
「……こんなに良い写真は、俺も滅多に撮れねぇぞ?」
…――――そこには以前、幼い頃の家族の写真が飾られていた。
今は、写真の中で、顔を寄せあうナナと薔はただ楽しそうに笑っていて、ちょうどふたりの下方の真ん中で花子も一緒に笑っているようだった。
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