※※第202話:Make Love(&Cuteness).119








 「うーん、やっぱり眼鏡ケースかな?」
 休み時間、自分の席に座って悩む人のポーズっぽいのを取りながら、羚亜は未だ醐留権の誕生日プレゼントについて悩んでいた。

 「羚亜くん、それは無難すぎるよ。醐留権先生のことだから眼鏡ケースはいっぱい持ってるんじゃないの?」
 一緒に考えてあげている愛羅は、思いついたままにアドバイス。

 「え〜、だとしたら眼鏡拭きとか?眼鏡自体は高いし…」
 「もーう、羚亜くんたら!眼鏡から離れられないのか!?可愛いぞ、このっ!」
 「ちょっと、そんなに撫でたら乱れる!」
 「乱れろ〜!」
 どうにも眼鏡関連ばかりが思い浮かんでしまう羚亜に興奮し、愛羅がわしゃわしゃとその頭を撫で始める。
 髪を乱されてゆく羚亜は内心、初めて自分の口座にお給料が振り込まれることもありワクワクなのである。

 「あっ!愛羅さんは何か、欲しいものある!?」
 「えっ?」
 頭を撫でられながら、羚亜はずっと言おうと思っていたことをついに、もじもじと言ってみた。

 「要さんの誕生日プレゼントに、全額使うわけじゃないから……愛羅さんにも何か、プレゼントしたくて……」

 と。




 「羚亜くんがいい!」
 瞳を輝かせた、と言うよりむしろギラギラとさせた愛羅は、即答した。

 「俺はもう愛羅さんのものじゃん!?真面目に答えてよ!」
 「真面目に答えるなら裸エプロンで猫耳つけた羚亜くんがいい!」
 「えええ!?なにそれ!?」
 大興奮の愛羅はエロおやじと化し、羚亜はちょっとした身の危険を感じ始める。











 「なぁ、ナナ、」
 2ー5の教室にて、薔は彼女へとちょっと甘えた声を掛けた。

 「何か欲しいもんあるなら言ってみろよ。」
 彼は少し首を傾げてナナを見る。
 ショートホームルーム前に心ゆくまでふたりっきり世界となれなかったが故の、甘えたモードなのかもしれない。
 ちなみに本日は薔にも、特に初ではありませんがアルバイトの給料が振り込まれますので。

 「えっ!?ほしいものですか!?」
 お菓子とかお洋服とか色々ありそうだが、驚くナナはなぜだか真っ赤となった。
 おそらく脳内は、プライスレスです。


 「おまえ今エロいこと考えたろ?」
 「かっ、考えてませんよ…!」
 薔はお見通しといった様子で、ナナはさらに赤くなり沸き上がりそうな勢いだ。


 (言葉責めっぽいのが多いよ……今日……)
 照れる周りはそう思っている。







 「俺は“一番に欲しいもん”とは言ってねぇだろ?」
 「あああっ!そうでした!」
 ナナと薔は終始ふたりっきりワールド全開で、

 (言葉責めっぽいのが多いよ、今日!……ばかりでもないか。)

 周りはさらに照れたのだった。

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