※※第202話:Make Love(&Cuteness).119







 ばたぁぁんっ

 「こけしちゃ――――――ん!?」

 醐留権が薔の台詞により明日は自分の誕生日だと気づいたところで、ついにこけしちゃんがぶっ倒れた。
 彼女が腐的に美味しすぎたために、初めてその事実を知った周りは「そうなんだぁ!」という驚きの声を上げることもできずにいた。

 「桜葉!?」
 ナナが介抱を始める前に、すかさず醐留権がこけしちゃんへと駆け寄る。
 ちなみに、隊員たちは自力で生還していたためにこの時点で介抱が必要なのはこけしちゃんだけでした。

 「大丈夫か!?今すぐ保健室に行こう!」
 「あぁぁ、ゾーラ先生ぇぇ、あたしはいいからぁぁ、つづけてぇぇぇ…?」
 「失明までのくだりをかい!?」
 こけしちゃん的にはラブラブイチャイチャなのですが、ひとまず彼女はゾーラ先生が保健室へと運んでいきました。

 (なんか朝から目まぐるしいけど…いろいろいいもの見れた。)
 周りはしみじみ。






 「良かったねぇ、こけしちゃん…」
 「おい、そろそろ俺を構え。」
 ホロリとしながら見送ろうとしたナナだが、薔の我慢は限界に近づいていた。

 「あああっ!薔っ、すごいですよーっ!薔のおかげですよ!」
 はしゃぐナナへと、
 「なら頭なでなでしろよ、」
 薔はちょっと甘えてくる。


 「えええ!?それは恥ずかしいです!」
 「恥ずかしいの好きだろ?おまえ、」
 「ぇぇぇええ!?」
 真っ赤っかとなったナナと、ようやく彼女とイチャつける薔はまさにふたりっきりワールド全開となっており、

 (かわいすぎるし……見ているこっちが恥ずかしい、言葉責めみたい……)

 周りは腰が砕けそうになっていた。















 ――――――――…

 「すまない、桜葉…」
 保健室にて醐留権は、こけしちゃんへと謝った。
 もうすぐショートホームルームが始まってしまうため、ゆっくりもしていられない。
 ふたりのことを知っている葛篭先生は、気を利かせて保健室を出て行った模様だ。

 「いいよぉぉ?おかげでイイモノが見れたからぁぁぁ…」
 ばっちり保健室のベッドに寝かされているこけしちゃんは、未だに瞳を輝かせている。
 自分の行動は決して間違ってはいなかったのだと、醐留権は失笑してしまった。


 皆すでに教室へと向かったようで、廊下は静かでそれ以上に静かな保健室にはふたりっきりで、

 「君はさすがだね、私は自分が恥ずかしいよ…」
 ふと、彼女の手を取った醐留権は、優しくそのくちびるにキスをしてから保健室を後にした。

 「桜葉と一緒に過ごすために、今日は明日のぶんも仕事をがんばるからね?」
 と、決意の言葉を残して。







 ぽぉぉっと頬を赤らめたこけしちゃんは、またしてもぶっ倒れそうになったのを懸命に堪えると、

 「えっとぉぉ、まだキュンキュンしてるけどぉぉ、教室に戻ろうぅぅ…」

 特に具合が悪いわけではないためきちんとショートホームルームに出席すべく教室へと戻っていきました。

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