※※第167話:Make Love(&Honeyed).95







 (暮中は明らかに熱があるのではないか?)
 ホームルーム中に、眼鏡をくいっとやった担任・醐留権はそのことに気づいたようだ。

 (と言うことは、三咲は今日も黒い粥を…?)

 バサッ…

 そして出席簿を教壇に落とす、ゾーラ先生。
 前回はきちんと白いお粥作れましたけどね。




 (醐留権先生の様子が、なんかおかしい…)
 受け持たれている生徒たちは、その緊迫した雰囲気に思わず息を呑む。

 そんでもって、スマートに出席簿を拾い上げた醐留権は、

 (ここはやはり、桜葉に頼るしかないな…)

 心の中で気を利かせ始めた。
 こけしちゃんはおそらく妄想ワールドに突入してしまうことでしょう!



 青い空には、羊の群れのような雲がゆったりと流れております。
 もしかしたら今夜あたり、雨が降るかもしれませんね。















 ――――――――…

 彼が熱を出しちゃっていることもあり、休み時間になるとさっそくナナが2-1の教室へとやってきた。



 「早く授業終わってほしいですね〜!」
 とかナナさんが、思わず零してしまうと、

 「おまえから会いに来てくれるなん、嬉しいな…」

 やはり熱っぽい雰囲気で、マスク越しでもわかるほど嬉しそうに薔は微笑んだ。








 ……どふぅっ!

 (三咲さん(先輩)!ファイト!)

 危うくノックダウン寸前、再び。
 本日は大移動をする必要のない皆さんは、まだこのときめきを目の当たりにしていたいためナナへと心で熱きエールを送った。


 何とか踏ん張り、堪えたナナさんは、

 「あああのっ、本日はっ、お日柄も、よろしいですねっ!」
 「そうだな、赤口だけどな。」
 「しゃっこう…?」

 ときめきのあまり、話の振りがまるで結婚披露宴でのスピーチのようになった。

 ※ちなみに、赤口とは。
 ・六曜において凶日とされる日。あらゆる物事に対して不吉とされる。ただし、正午に限って吉。「赤」の字が示すとおり、刃物や火の元には特に要注意とされる。(実用日本語表現辞典参照)




 「あああとっ、今日はわたし、薔のためにおかゆ作ります!」
 「黒いのか?」
 「白いのですよ!」





 ……会話の次元がちがいすぎる……

 周りは終始、ウフフ。







 「おまえが俺のために作ってくれんなら、何だって嬉しいぞ?」


 ……どふぅっ!

 (三咲さん(先輩)!ファイトだーっ!)




 なんともまあ、平和でございますね!

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