※※第198話:Make Love(&Pornography).116
何だか妖しげなタイトルが表面には小さい字で印刷されていたのだが、ナナはそれよりこれはCDなのかDVDなのかで悩みに悩んでいた。
「薔ならわかるから、帰ってきたら教えていただこう…」
ナナは判別を諦めかけた、まさにそのとき、
ちょんちょん
と、目を覚ました花子が足を突っついてきたのである。
「花子ちゃん?」
ナナは目をぱちくりさせ、花子を見た。
“ナナちゃん、それはちょっと特殊なDVDよ?”
花子は視線で訴えかけた。
目を覚ました豆は花子へと向かってトテトテ歩き、まだ眠たそうにすり寄る。
ゴクリと息を呑んだナナは、なんとなくこれはDVDなのだと解釈することができた。
「フウちゃんの好きな映画とかかな?」
よって、まずは鑑賞してみることとした。
「面白かったら薔と一緒に観よう!」
彼はまだ帰ってこないため、毒味?も兼ねてナナはDVDをプレーヤーで再生してみることとした。
“あらら…”
特殊な、の部分は伝わらなかったようで、良い子は観ちゃいけませんの心意気で花子は豆を連れて奥の部屋へと向かっていった。
「一緒に観ないの?」
残念そうに問いかけたナナは、うろ覚えのやり方でDVDを再生する。
すると、他作品の予告からして、それは映画とは違うようで、いかにも妖しい雰囲気だった。
「……えぇえええ?」
妖しいを怪しいと勘違いし、まさかホラーやサスペンスのような苦手な類のやつなのかと思ったナナは、停止ボタンがわからず手当たり次第にリモコンを操作してみた。
その結果、
『あんっあん…っ、あんっ、』
見事なまでに最中のシーンへと行き着いてしまったのだ。
真依がお礼の品として贈ってきたのは、立派なアダルトビデオだった。
無論、真依の目論見としては旦那さんと一緒に観てほしかったのだが。
『ああんっ……あん…っ、あんっ…あんっん、』
大画面のテレビでは、男女が騎乗位で艶かしくセックスに励んでいる。
「ぎゃあああ!なにこれ!?」
ナナはひとまず、応急措置としてテレビを消そうとした結果、慌てすぎたため、
『はああ…っん、あぁんっ、』
音量を上げてしまった。
(これは困った――――――――――っ!)
あーっ、ぁーっ…(※真っ赤でエコー)
上に乗って揺れ動く女性は、下から男性に胸を揉まれとてもエッチな声を次々と上げる。
「ぎゃわーっ!ちょっとーっ!」
慌てるナナは手のひらでテレビのリモコンを叩き、
プツッ――――…
運良く、消すことができた。
「ふぅ……これで一安心……」
と、一息ついて汗を拭ったのも束の間か。
ひょいっ…
テレビのリモコンは奪い取られた。
「あああっ!おかえりなさいませーっ!」
やっと彼が帰ってきてくれて、ナナは大喜びである。
「ただいま、」
彼女に向かってそらやさしい微笑みを落とした薔は、リモコン片手に問いかけてきた。
「おまえ今何観てたんだ?」
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