※※第198話:Make Love(&Pornography).116
ガチャ――――…
花子の警戒がなかったこととモニターできちんと確認もしたため、ナナは玄関のドアを開けた。
「フウちゃん、こんばんは!」
そしてナナはオナニーの途中だったもどかしさを隠すため、明るく夜の挨拶をした。
「こんばんは!」
オナニーの邪魔をしちゃったとはつゆ知らず、真依は満面の笑みで返す。
インターホンを鳴らしたのは、真依だったのである。
ちなみに彼女は先日、いつでも来れるようにと彼氏に合鍵もらっちゃいました。
「ナナちゃんにいいこと教えてもらったから、お礼にきたの!」
「えっ!?そんな、お礼をされるようなことは何も教えてませんが、」
真依は上機嫌で、ナナはかしこまる。
どちらかと言えばナナにお礼をすべきは屡薇のほうだと思われますが、薔が許さないか。
「あれ?ナナちゃんの旦那さんは?」
「だだ旦那さん!?……は、えっと、アルバイトの面接に行ってらっしゃいまして…」
「そうなんだぁ!」
真依はさすが屡薇の彼女か、自然と呼び方は“ナナちゃんの旦那さん”できました。
そしてナナは真っ赤になりながらも説明はきちんとしていた。
「じゃあこれ、お礼の品ね!」
するといきなり、真依はナナへとやけに薄っぺらいが可愛らしい白いレースリボンのついたピンク色(ピンク色!)の袋を手渡してきたのだ。
「なんか、こちらこそ、ありがとうございます…」
感触からして薄くて丸くて固いもののことは確かだが中身が何なのかよくわからないまま、ナナはちょっと申し訳なさげに返す。
「いえいえ…!それ、女性が観てもいけるから…!」
「はい?」
やや興奮している様子の真依の、言葉の意味もナナにはよくわからなかったのだけど、
「健闘を祈るね!」
「はいぃい!?」
真依は手を振りながら、隣の部屋へと駆けていった。
じつは多忙な屡薇に部屋の様子もたまに見てほしいと、頼まれているのである。
ナナはわけがわからずに、お礼の品を手にしたまましばしポカンとしていた。
そして我に返ると慌てて開けっぱなしだったドアを閉め、真依がくれた袋を見ながらナナは呟いた。
「美味しいものでは、なさそうだよ……」
固さからして中身は、食べ物ではなさそうである。
ナナはリボンを解いてゆきながら、リビングへと戻っていった。
お礼の品の正体はと、言うと、
「CDってやつかな?DVDってやつかな?」
光ディスクでした。
パッケージなしでディスクだけで渡してきたのは、真依なりの配慮だったのかもしれない。
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