※※第197話:Make Love(&Passion).115








 「何かおっしゃってください!」
 「おまえ可愛すぎる……」
 「どはあ!」

 懸命な訴えかけにきちんと返事をされたナナは、いったん仰け反った。

 そして、

 「あああのですね、薔っ!」
 「……ん?」

 未だ肘掛けへと顔をうずめている彼へと、ナナは告げ始めたのだ。

 「わたしすごく、思っていることがあるんです……」

 と。




 「うん…」
 ようやく薔は、彼女へと視線を送ることができたようだ。
 流れるような視線に心臓は瞬時に引き寄せられてしまい、高鳴り始めた胸を押さえ、潤んだ瞳でナナは言葉にした。

 「あの……わたし……」






 「薔の赤ちゃん……ほしいです……」













 「おまえいい加減にしろよ?」
 いきなり躰を起こした薔は、堪えきれないように、でもやさしく彼女の頬を両手で包み込んだ。
 「あ……」
 触れられただけでぞくぞくして、背筋が甘く痺れる。


 「俺をどこまで夢中にさせれば気が済むんだよ…」
 くちびるのすぐ近くで、苦しげに言葉にすると、

 ちゅっ…

 そのままくちびるに……かと思いきや、まぶたにキスをして薔は囁いた。

 「目……閉じてろよ?」












 ナナは言われた通りに、目を閉じた。

 …ッ…くちゅっ…

 「ん…っ!?あ…っ、」

 すると耳を舐められ、目を閉じているからか余計に、いやらしい音に神経は持っていかれた。

 「いつから思ってた?」
 「え…っ?あ…っは、」
 音を聞かせて耳を舐めながら片手でナナの目元を覆い、与えた暗闇の中で彼女の感覚をすべて手繰り寄せながら、薔は濡れた声と吐息でも耳を愛撫する。

 「俺の子供がほしいって…」







 「いつ…からかっ、わかんな…っ、あ…っ、」
 ナナは躰をふるわせながら、正直に応える。
 いつからか、はっきりとは覚えていないけれど、はっきりとした気持ちとして抱きつづけてきたのは確かだった。
 ヴァンパイアになれたおかげで、彼に出逢うことができた。
 だけど、ヴァンパイアである自分は彼の子供が産めない、それはとても切ないことだといつからか強く思い始めていた。


 「へえ…」
 耳もとで妖しく笑うと、薔は彼女の耳たぶをやさしく吸って、ゆっくりと放し引っ張った。

 「は…っん、あ…っ、」
 感じて仕方ないナナは、彼の服をぎゅっと掴む。
 ゆびさきに、伝わりくる体温も気持ちがよすぎて、彼女は息を乱していった。

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