※※第194話:Make Love(&Thickness).113








 張り詰めていたこともあり疲れたのか、夕食(は進んでコンビニ弁当だった)とシャワーも済ませ、鴉姫はリビングのソファで爆睡してしまっていた。
 生活習慣では就寝時はパンいちのようだったが、そんな危険な姿を薔は決して許しはしなかった。
 普通に、着てきたロックテイストの服を着て、毛布を掛けてすやすやと眠る鴉姫の傍らで仲良しわんこたちが眠っている。
 見張りなのか、大サービスなのか。







 「あんなに蜂にさされたのに、病院に行かなくて大丈夫なんですかね…」
 食後のデザートも美味しく戴き、彼と仲良くお風呂を済ませたナナはベッドにてまだその点についてを心配していた。

 「おまえはほんと、優しいな?」
 蜂にさされたわけではなくただのすっぴんなので、笑いを堪える薔はふと顎を持って彼女の顔を自分へと向けさせると、

 「でも…俺のことだけ考えてなきゃダメだろ?」

 ちょっと妖しく微笑みかける。


 「そ…っ、その通りです…っ、」
 彼がそう言うのなら、ナナは瞬時にそうなってしまい、

 フッ――…

 と笑った薔が手を放していったことを非常に残念に思っていた。





 ふたりは今ベッドのうえで、灯されているのも傍らの薄明かりだけなのだから、否応なしにナナはドキドキしてしまった。
 とてもではないがこのままでは、眠れるはずもない。

 「もう寝るか?」
 そんな彼女の心情を、悟っていないとは思えない言い方で、薔が提案をすると、

 「やだ…っ、……やです…っ、」

 もどかしくて仕方ないナナは必死になって、彼の腕を掴んでいた。

 「どうして?」
 覗き込むようにして、どこか意地悪く薔は確かめてくる。
 「だって…っ、」
 上目遣いの視線は絡め取られ、ナナは彼の腕を掴んだまま頬を赤くしてもじもじすると、

 「薔とえっち…したいです……」

 素直に言葉にしていた。
 今日は宿泊客がいるのだが、もはやそんなことに構っていられない、ナナは彼に言われた通り彼のことだけ考えてしまっているのだから。

 「奇遇だな?」
 彼女の素直な言葉を引き出してしまうと、薔はコツンとおでこにおでこを当てて、囁く。

 「俺もおまえとえっちしたかった…」








 だから彼は意地悪く確かめてきたのだと、ナナにはわかった。
 くっつけあったおでこから、全身が熱くなる。

 「学校でもあんだけえっちしたのにな?全然足んねえ…」
 薔は囁きをつづけ、吐息でくちびるをなぞるといきなり、

 ドサッ――――…

 彼女の両手首を掴んでベッドへと押し倒してしまった。

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