※※第194話:Make Love(&Thickness).113
「あ……っ、」
とろとろにされてからゆびが抜かれると、真依は潮を吹いた。
彼の部屋の玄関を濡らしてしまいちょっと焦る、どうしたらいいものか。
「じつは俺確信犯だからさ、ここにコンドーム隠してあったんだ、」
笑いかけて、屡薇は傍らの下駄箱の上へと手を伸ばし、彼女がそこに飾ってくれた花瓶の後ろから避妊具の袋を取り出した。
確信犯と言うべきなのか、用意周到と言うべきなのか、彼女の前で露にしたソレに彼は避妊具を被せてゆく。
「あっ、やべっ……かっこよくいきたかったけど、案外暗かった……」
手こずってはいるけれど、きちんと用意し心がけてくれていたことが真依は嬉しくもあって、
「屡薇くんてここの作業、手こずるんだよね…」
からかいながら、笑ってしまった。
「言わないでよ、ほんとのことなんだから…」
ちょっとばつが悪そうに、屡薇は返す。
最中にほんとのことをわざわざ口にするのは、彼のほうが圧倒的に多いというのに。
真依は何か言い返そうとしたが、その前に屡薇はすっかり被せることができたようで、
「今夜は後ろから挿れていい?」
確かめると同時に真依をドアへと向かせて立たせた。
「う、うん…」
耳もとで問いかけられた真依は、ドアに当てた両手をぎゅっと握りしめる。
期待に高鳴る鼓動が、ドアを叩いてしまったらどうしようとも焦る。
「濡れて光ってるから、すぐに探せた…」
後ろから入り口を擦って刺激すると、屡薇はゆっくりと挿入してゆく。
「あ…っあ……」
挿ってくる感覚に、真依の背中を快感が走り抜けた。
鴉姫を屡薇の部屋へ預けようとした薔は、何事もなかったかのようにナナと、ついでに鴉姫の手も引いて愛の巣へと向かい出した。
「そういや、明日は月曜日か…」
薔の呟きで鴉姫は悟ったが、ナナははてなマークである。
途中で鴉姫は手を離されたが大人しく後をついてゆき、玄関の前へ辿り着くと、
「仕方ねぇな、今夜は泊めてやるよ…」
先にナナを入れてから、薔は鴉姫を部屋の中へと招き入れたのだった。
招き入れてすぐに、薔は鴉姫へと厳しく険しく念を押した。
「俺のナナには近づくんじゃねぇぞ?」
ビシッと鴉姫は、大声を出すのも憚られたため精一杯の敬礼をしてみせた。
「万が一でも俺のナナに話すことがあった場合は必ず俺を介せ、いいな?」
薔はさらに念を押し、敬礼をしたまま鴉姫はコクコクと頷く。
真っ赤っかとなったナナも、何となく敬礼をしてみせたのだった。
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