※※第193話:Make Love(in Clubroom).112







 初日も真依もそちらを見ると、肩を掴んでいたのはこのコンビニの変態アルバイターことベンジャミンであった。


 息を荒くして汗ばみながら、ベンジャミンは申し出た。

 「よっ、よかったら、僕と一緒に血液パーティーに行きませんか!?」

 と。
 よくよく考えてみなくともこやつはヴァンパイアだった。


 「……遠慮しておきます。」
 同類が同類でとたんに萎えた初日は、ベンジャミンの手を振り払い颯爽とコンビニを後にした。






 「あ、なんか、ありがとうございます…」
 救い方はやや異様ではあったが、真依はきちんと礼を述べた。

 「いえ、僕は漢なので、これしきのこと…」
 どこに向かっているのかはあまり定かではないが、フーフーと息をしながらベンジャミンはレジへと戻っていった。
 例えちっさかろうと全体的に溺死体であろうと、ベンジャミンが活躍というものをしたのはおそらくここにきて初めてである。

 「どうしたの〜?なんかベンくん息荒いけど〜!」
 「かたじけない、チーフ…」
 レジでは何をしていたのか、元チーフが無駄に爽やかに待っていた。


 真依は勇敢なコンビニ店員さんのために、お茶のほかにお菓子とヨーグルトも買ってあげたんだとさ。















 ――――――――…

 今更ではありますが、ヴィジュアル系バンドFeaRのメンバーを紹介いたしましょう。

 ・ボーカル:摩闍※メイクしてなくてもけっこう男前だが屡薇に弄られて伸びるタイプのためM疑惑有り、本人は全力で否定、たまに作詞もします。
 ・ギター:ご存知屡薇※メイクしててもしてなくてもあまり変わりなく美形、バンドの中では最年少だがほとんどの楽曲の作詞作曲手掛けてます。
 ・ギター:沙躯(さく)※メイクしてないと別人で強面すぎてスーツ姿で決めてたりするとたまに職務質問されるがリーダー、根はとても温厚。
 ・ベース:鴉姫(あき)※メイクしてない顔をメンバーですらも見たことがなく屡薇×摩闍の発端者、背が低いのが悩みの種。
 ・ドラム:丹邪(にや)※メイク関係なくドラム叩いている時以外は草食系、叩きだすと肉食系ではなく般若に豹変する。


 ……五人編成、至って仲良しバンドである。







 「撮影が楽しみになってきたな…」
 朝一に屡薇の報告を受けた摩闍は、息を呑んだ。
 「おれも…」
 他のメンバーも賛同である。

 「良かったよね、目標はPeonysのやつらギャフンだよ。」
 誇らしげに笑う屡薇はこの時点で、Peonysは同じジャンルのヴィジュアル系バンドだと思っている。

 今ではリハーサル開始時刻のだいぶ前に、メンバー全員が揃うようになっており(遅刻常習犯は屡薇だった)、

 「あのさ、ちょっといいかな?」

 ふと、ベースの鴉姫がこんなことを明かしてきたのだ。

 「おれ、昨日の夜誰かに後つけられてる気がしたんだ…」

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