※※第191話:Make Love(&Sex aid).13
そのあとはもう、胸を高鳴らせる一方となり帰宅です。
マンションに着き、玄関のドアを閉めるとすぐに、薔はゆっくりと彼女のあたまを撫でた。
「あ…っ……」
手つきがあまりにもしなやかで、ナナは感じてしまい、このままキスもしてもらえるのかとドキドキと期待に疼く。
思わず甘い声を上げてしまった彼女に、甘やかな視線を落としていた薔は微笑むと手を離してしまった。
「散歩行こっか。」
「あ…っ、は…っ、はいっ…そうですねっ……」
キスはしてもらえず、いっぱいあたまも撫でてはもらえず、じれったくなってしまったナナだが一緒に散歩は行きたいのである。
「花子ちゃんと豆ちゃんも待ってましたもんね!」
よって、じれったさを隠し、まずはお着替えから!と元気よくお散歩の準備へと取りかかり、
くすっ…
と笑って、薔は彼女の様子をちょっと妖しく見つめていた。
――――――――…
お散歩も夕食も後片付けを済ませてからも、ナナは続きをしてもらえずもじもじと何かを言いたげにしていた。
内心では焦らして愉しんでいる薔だが、表情には出さず落ち着いてさらに彼女をじれったくさせてゆく。
そんなふたりは只今ソファに並んで座って、プライベートで劇の稽古に励んでいる最中です。
ちなみに花子と豆はお部屋で寛ぎ中である。
(ううう…っ、これじゃ全然…頭に入ってこないよ……)
俯き加減に、ナナはきゅっと台本を掴み、そもそも台詞は彼に盗まれてしまったのだから仕方がない……と思い始めていた。
触れてもらえなければどうしようもない。
「どうした?」
ふと、薔は意地悪く、確かめてくる。
「薔は……いじわるですよ……」
火照った頬を懸命に隠すよう、恥じらうと、ナナは台本をテーブルの上へと置いた。
「おまえがそういう顔、見せるから意地悪したくなるんだろ?」
台詞は全て頭に入っている薔は、台本も手にしておらずなにげに準備は万端である。
確かに、意地悪をされても全く嫌ではないし、むしろ何だかんだ言ってももっとされたいし、ナナの躰は悦んでしまっている。
だから彼にだけは、少し、大胆になれる。
「あたまいっぱい、撫でてくださるって……おっしゃいました……」
ナナはじれったくていてもたってもいられず、強請るような目つきで彼を見上げ、
「そうだったな、」
大胆不敵な笑みを浮かべた薔は、甘くてちょっといやらしい雰囲気で彼女を引き寄せた。
「抱っこしながら撫でてやるから、来いよ…」
「あ…っ、はい……」
ナナは素直に両手を伸ばし、ぎゅっと彼に抱きついた。
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