※※第191話:Make Love(&Sex aid).13







 (あぁぁ、ナナちゃぁんがピンチなのぉぉ。)
 緊迫した雰囲気のなか、困っているというか興奮しているナナを救うべく立ち上がったこけしちゃんは、

 「薔くぅん、」
 「あ?」

 とっさに思いついた質問をニコニコと投げかけてみた(一部濁点必須)。

 「BLTの“T”はぁ、何だと思うぅ?」






 「トマトだな。」
 見事なまでにあっさりとごく一般的な答えを即返した薔は、

 「おい、早く出せよ。」
 「こっ、これは、ダメですって…!」

 お構いなしにナナへと迫った。
 ナナは後ずさろうにも机や椅子が邪魔してままならない。



 「いいなあ、あたしもああいうのされてみたい…」
 「同感…」
 努めて空気と化していた隊員たちはもはや、ナナに対して羨望の眼差しを送っている。



 「薔っ、落ち着きましょうよ!」
 ノートを一所懸命に後ろ手に隠し、慌てふためくナナは彼をなだめようとした。
 「俺は至って落ち着いてるぞ?」
 さらりと返し、薔はさらに彼女へと迫る。

 「落ち着いてねぇのはおまえだろ?」
 「それもそうです!…って、近い!おカオ!」







 (まさかの教室でチューですか――――――――っ!?)
 事情を知らない周りにはそう見えているようだ。




 ここまでくるとこけしちゃんも、国家機密レベルが暴かれることなど何のその、ニコニコと見守ることに徹しております。
 いきさつがよくわかっていないギャラリーさん方やなんかは、今にもキスできちゃいそうな距離にドキドキもひとしお。



 「ううう…っ、これはっ、ダメなんですってばぁ…っ、薔ぅ…っ、」
 うるっと瞳を潤ませたナナは、無意識のうちに甘えた声で泣き落としにかかった。

 「そんな泣き落としが通用するとでも思うか?」
 彼女の目の前で、薔は堂々と確かめ、

 「通用しませんかぁ…っ?」

 さらに瞳を潤ませたナナは、泣き落としというものがよくわからないまま甘えた声で聞き返した。



 よって、

 「………………。」

 彼はムラッときてしまい、ばっちり通用した模様である。



 「おまえすげえ可愛いな、そんなんほっといて向こう行くぞ?」
 「え…っ?いいんですかぁ…っ?」
 ナナは強引に席へと連れ戻され、茶封筒はこけしちゃんのもとへ戻された。
 またこっそり借りればいいさ。





 「これはぁ、受け公認と取っていいのかなぁぁ?」
 「桜葉さんてほんと、怖いもの知らずだよね……」
 腐に於いてはまさにその通りだと思われるなか、こけしちゃんはニコニコほくほぉくとし、隊員たちはそんな隊長に大感心なのであった。

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