※※第189話:Make Love(&Make Love!).10.5








 「……っんっ、ん……」
 真依は重ねられたくちびるから、吐息を漏らすこともままならずにいた。
 抱かれた腰、浴衣は皺を作る。
 胸の谷間は徐々に覗いてゆくが、乳輪は見えそうで見えない。


 「……っは…っ、」
 いったん、少しだけくちびるを離されると息は荒くなって、

 「やだ…っ、屡薇く…っ、くるし…っ、」

 真依は濡れたくちびるを、ふるわせている。




 「じゃあ、俺とおんなじだね…」
 笑った屡薇は、キスを再開し、ムッとした真依だったがすぐに腰は砕けた。
 彼の言う“苦しい”は、キスのせいか、好きのせいか。


 舌で舌を、やわらかく絡め取られ、ふたりは縺れるように敷かれた布団を目指す。
 腰は強く抱かれ、浴衣は乱れて真依の素脚が艶く。
 布団は二組敷かれているが、より手前の一組しか屡薇の目には入っていない。




 ドサッ――――…

 とうとう、辿り着いた布団の上へと、真依は押し倒すように横たえられ、

 「……は…ぁっ、」

 くちびるを離した屡薇は、手を伸ばし、傍らの和風スタンドを灯した。

 灯す瞬間、細く切れた唾液が明かりに煌めいた。




 「はぁ…っ、はぁ…っ、」
 頭の中は真っ白状態で、真依は肩で息をしている。

 「真依さん…甘い匂いがしてるよ?」
 彼女のくちびるを舐めてから、屡薇のくちびるは顎へと伝う。

 「色っぽいね……」






 「んん…ンっ、」
 真依は彼のくちびるの動きに反応し、躰をふるわす。
 浴衣の下にはブラジャーを着けてはおらず、キスで感じる真依の胸では突起がピンと張り出している。

 「ここもすっげえ、エロいし…」
 屡薇は浴衣のうえから、彼女の乳房を揉み始める。

 「あ…っん、も…っ、ばか…っ、」
 やわらかく胸を揉まれ、気持ちがいいのにそんなことしか言えなくて、けれど真依の声はどんどん甘ったるくなる。


 「気持ちよくねぇの?ここ、」
 屡薇は両手で彼女の胸を揉みしだき、なめらかな首筋へとくちびるを這わせてゆくと、

 「真依さん……」

 白く艶いたその肌にふと、野性の本能のほうを目醒めさせてしまった。
 あと少しで、彼女の柔肌に牙を立ててしまうところだった。







 「……っ、やべ…っ!」
 いきなり両手を離し、彼は慌てて片手で口元を覆った。

 「……?……屡薇くん…?」
 いきなり愛撫を止められてしまった真依は、まさか変なにおいでもしたんじゃ……とあれこれ不安になる。


 「……どうしたの?」
 すると躰はちょっと落ち着いて、不安は広がるから真依はおもむろに起き上がり、彼の顔を覗き込もうとした。
 「見ちゃダメだって……」
 口元を抑えたまま、屡薇は顔を逸らす。



 ムッ!とした真依は、思い切り彼の腕を掴むと、

 「わけわかんない!あたしそんなにくさかったの!?吐き気がしたの!?」

 引き剥がした。

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