※※第188話:Make Love(&Make Love!).10








 「ん――――…」
 騒動中にも拘わらず、花子に抱きついているうちに再び眠りに落ちてしまったナナは、布団の上でゆっくりと目を覚ました。
 酔いが覚めてきているのかは自分にもよくわかっていないのだが、全身が未だ火照りエッチな夢を見ていたような気分でいることは確かだった。



 「また、おはようだな?」
 彼女の顔を覗き込み、微笑んだ薔は頬を撫でてくる。
 しかも彼はいつの間にか浴衣に着替えており、髪は濡れていた。

 部屋の中には、和風スタンドの夢幻的な明かりが灯されている。


 「あれぇ…?」
 ぼんやりした瞳で部屋を見渡し、いつの間にふたりっきりになれたのかとナナは思った。
 ちなみに花子と豆は、例え嬌声であっても子守唄になるくらいに、広縁にて仲良く寄り添って熟睡中です。


 ぽーっとしながら見上げてくる彼女の頭を、そっと撫でた薔の髪から、

 「やっとふたりっきりになれたな……」

 雫が今にも滴りそうに見えた。



 「そうなんですかぁ……」
 ふわんと笑って躰を起こしたナナは、

 「薔とふたりっきり……嬉しいですぅ……」

 ぎゅむっと彼に、抱きついてすり寄る。

 「俺も嬉しいよ、ナナ…」
 薔は抱き返し、耳もとでやさしく笑う。




 そして、ふと、

 「薔ぅ……」
 「ん?」

 物欲しそうな視線で、もじもじと彼を見上げナナは正直に言ってしまった。

 「わたし……今すごく、えっちな気分なんです……」

 と。





 「へえ…どんな風に?」
 妖しく笑った薔は、彼女の官能を引き寄せる。

 「えっと、ここが……」
 ナナは彼に腰を抱いてもらいながら、そろそろと浴衣をたくし上げてゆくと、

 「びしょびしょなんです……」

 よく濡れた秘部を恥ずかしそうに、でも大胆にさらけ出した。
 夢では嫌なのだ、今すぐにでも乱してほしくなる。



 ところが、

 「…おまえ、何で下に何も穿いてねぇんだよ、」
 「ごめんなさぁい……」
 薔の雰囲気は若干なのか、険しくなり、泣きそうになったナナは素直に謝った。
 結果的にこれは、浴衣の下には何も着けちゃいけないんだよぉぉ?というこけし姉さんの粋な計らいだったわけなのですが。




 「えっちなことは……してくださいませんか……?」
 ウルウルと潤んだ瞳で、ナナは甘えたような声を出す。

 「さあ……そいつはおまえ次第だろうな、」
 その姿にゾクゾクしてしまった薔は、意地悪く、彼女から両手を離してしまった。


 「あの…どうすれば……」
 脚をいやらしく露にし、涙目になってナナは困惑している。
 無自覚に、彼を誘惑している。


 ふっと笑った薔の髪から、滴った雫は彼の浴衣を濡らし、

 「車ん中では俺がおまえのを舐めてやったろ?今度はおまえが俺のを舐めろよ…」

 顎を持たれたナナは、親指でくちびるを撫でられた。




 「あ…っ、はい……」
 焦らされてもひどく興奮し、息を乱したナナは手を離されてから彼の浴衣へ触れたのだった。

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