※※第188話:Make Love(&Make Love!).10








 甲州弁で叱られた醐留権先生は、叔母の言う通り教師だし、特に何も言い返せず部屋割りは以下のようになった。
 ちなみに、部屋ごとに露天風呂はばっちりございます。

 白百合の間(※実際の部屋名ではありません):ナナ、こけしちゃん、愛羅、葛篭先生、花子

 白薔薇の間(※実際の部屋名ではありません):薔、ゾーラ先生、羚亜、ハリー、豆


 見事なまでにわんこたちまで男女別と相成り、各部屋の窓からは富士山を拝むこともできていた。
 満月が昇りゆく空は濃藍となり、山頂へのシルエットを幻想的に浮かび上がらせている。









 「あぁぁ、色々と膨らむよねぇぇぇ…」
 一番浮かれていると言うか萌えているこけしちゃんは夜景そっちのけで、隣の部屋とを隔てている壁に耳を当て、まるで細宮校長のようなことをおっとりと口にした。

 「隣は男だらけでぇ、しっぽりだしぃぃぃ……まさに男の園ぉぉぉ……」
 「尻尾…?」
 「ねぇねぇ、何か聞こえるの?」
 ナナと愛羅も、こけしちゃんに便乗してみる。
 こけし姉さんの脳内で、腐的な妄想は膨らむ一方である。

 「なかなか、難しいわね…」
 尻尾を振る花子が傍らより画面を覗き込むなか、葛篭は動画の編集に四苦八苦している。
 おそらく花子は、エールを送っているのだと。








 一方、壁に耳状態の男の園はと言うと、

 「………………、」

 広縁の椅子に座って、彼女と別部屋にされた薔の機嫌の悪さが半端なかった。
 ふてくされている彼が抱っこしている豆も、花子と別々の部屋なためふてくされているように見える。


 (なんか、かわいらしいな…)
 醐留権と羚亜はそう思ったため、こけし姉さんにとっては万々歳である。
 ハリーは旅館が物珍しいようでさっそく、和の醍醐味デス!と喜色満面で温泉へと向かって行った。



 「とりあえず、お茶でも飲もうか。」
 「薔くんも豆さまもこっちおいでよ。」
 醐留権がお茶(おばやんは把握してます玉露)を煎れ、ふてくされているふたりを羚亜が呼び寄せる。

 「にしても、色気のない部屋だな。」
 「これであったら困るだろ。」
 「登紀子叔母さん、厳しいよね…」
 高級なお茶を前に、美形キャラたちもなかなか和やかな雰囲気でございます。
 豆はと言うと、花子のご主人さまの膝の上でウトウトし始めている。



 ……男同士なため当事者たちにはまったく感じられないのだろうが、色気、じゅうぶんすぎるほどにございますので。

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