※※第188話:Make Love(&Make Love!).10
薄紫に白とピンク色の小さな花をあしらった着物姿の登紀子叔母さんが、こけしちゃんほどではないがニコニコと玄関にて挨拶と共にお出迎えしてくれた。
登紀子叔母さんのおそらく白髪染めしてある髪は、上品な明かりの下でツヤツヤと輝いている。
急遽お泊まりとなったため、途中、下着などはプラズマモール(何だかごめん)にて購入してきました。
赤い木橋を渡った先に佇んでいた旅館は情緒あふれる日本家屋で、庭の松の木の手入れまでもがよく行き届いておりどう見ても老舗旅館の趣であった。
「まあまあ、要さん、お連れ様も皆様お綺麗ですわねぇ。」
髪の毛がツヤッツヤの登紀子叔母さんは惚れ惚れと、一行を眺めておる。
登紀子叔母さんを最も興味津々で眺めているのは、羚亜である。
「うちの息子なんて二人とも、お餅みたいな顔をしていますからねぇ。」
と、登紀子叔母さんはホホホと続けたのだが、
(三男坊いなかったの!?)
羚亜はその点についてかなりの衝撃を受けた。
周りは“お餅みたいな顔”についてはてなマークを浮かべたり、ちょっと呆れ気味だったり。
一晩お世話になるため、一行も挨拶を済ませると、
「叔母さん、ちょっといいですか?」
醐留権が登紀子叔母さんへと、何やら耳打ちをし始めた。
何度か相づちを打ち、黙って聞いていた登紀子叔母さんは、ゾーラ先生が離れたとたんに両手を広げ迫真の演技で言いました。
「羚亜…!大きくなって…!」
「えぇ?あぁ、うん……叔母さんも、元気そうで……」
ものすごく控えめに、羚亜も乗った。
そもそも三男坊いないくせにどういう設定なんだろう……とか思いながら。
これぞ、ザ・根回し。
今頃になってひとまず根回しができた醐留権は、得意げな表情で眼鏡を光らせ、
「良かったね!羚亜くん!登紀子叔母さんだよ…!」
「うわあっ!」
一番感動している愛羅が彼氏の背中をドンッと押したため、羚亜と登紀子叔母さんはひしと抱き合ったのだった。
登紀子叔母さんからは、椿油の匂いがした。
「……何だ?このくだらねえ寸劇は…」
「何をおっしゃるんですか!?とっても感動じゃないですか!」
薔は呆れかえっているが、隣のナナはもらい泣き。
「ところで叔母さん、部屋割りはどうなっているんですか?」
せっかくだからと宿泊を勧められた上での予約を入れた醐留権は、叔母へと尋ねてみた。
すると、登紀子叔母さんは、
「要さん、おまんは教師ずらう?まさかアベックごとに泊まりたいんずらか?」
雰囲気がガラリと変わった。
「おばやんはそんなこん絶対に許しんよ!!」
……アベックとは、今で言うカップルのことです(そっちじゃない)。
どうやら、若干一名にとってはウハウハァァの、男女別々の部屋割りの模様です!
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