※※第187話:Make Love(&Ride).109
「どうせなら、一泊して行かないか?」
車を運転させながら、醐留権が提案した。
日帰りの予定ではあったが、せっかくの旅行だし富士山もご立派だし。
空はすでに、残照の時刻となっている。
「じつは、登紀子叔母さんの旅館がこの近くにあってね。もちろん、花子くんと豆くんも泊まれるよ。」
「登紀子叔母さんて、旅館の女将なの?」
「あぁ。」
羚亜はやはり、登紀子叔母さんについては気になるようだ。
この機会に是非とも、ご対面を……
「実穂子サンの浴衣姿デスカ…!」
「ハリーさん?」
これぞ日本の美デス!と、イメージだけで鼻息を荒くし、ハリーは彼女を眺めながら興奮している。
「羚亜くん、登紀子叔母さんにやっと会えるね!」
「えっ?うん…」
バカップルも宿泊に乗り気。
「ゾーラ先生ぇ、今夜も彼氏とお風呂入るぅぅ?」
瞳がキラッキラァァのこけしちゃんは、できることなら入ってほしい。
「いや、桜葉、私は君と…」
「照れちゃってぇぇぇ…」
醐留権はやっぱり、彼女と混浴したいらしい。
「うわぁ!なんだかすごく楽しいですね、薔っ!」
「おまえがそう言うなら泊まってくか。」
ナナがはしゃいでいることもあり、薔もすんなりお泊まりに賛同した。
遊び疲れた花子と豆は、また寄り添ってウトウトしている。
と言いますことで、一同は登紀子叔母さんの待つ旅館へと向かったのでした。
――――――――…
(やべ、浴衣姿とか燃えんな…!)
ライブ開始直前、屡薇は早くも真依の浴衣姿に想いを馳せ、気合いに満ちていた。
ギターへの気合い、としておきます、バンドマンなので。
ライブハウスは見事なまでに、満員御礼だ。
プロモーションビデオが話題になった“Stars”以来、FeaRの人気はうなぎ登りとなっていた。
「お前、鼻の下伸びてねえ?」
「必死で縮めるわ。」
ボーカルくんはそこに気づいたが、屡薇は努めてシャキッとし、メンバーはステージへと。
照明が落とされ、弾けたような歓声が響いた。
……鉢合わせに期待しつつ、物語は次回へとつづきます。
…――Something happens surely!
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