※※第165話:Make Love(&Shame).93






 おやつを食べた後もずっと、ナナはもじもじしておった。
 薔は彼女の様子に気づいておりますけれど、平然と気づかない振りをしております。

 只じゃ置かないとはこのことだったのだろうか…とにかく、あんなキスをされたままの状態では中はしきりに疼いてしまう。




 そんでもって、夕食前にナナはリビングにて、起きてきた花子と豆のお相手をしており、

 「雨、なかなか止まないねぇ…」

 気晴らしにもあまりならないが、レースカーテン越しにしみじみと窓の外を眺めてみた。


 “ナナちゃん、それどころじゃないくせに…”
 花子はさすがでございまして、

 “だっこ!”
 トテトテと、ナナに駆け寄っていった豆は、抱っこしてもらう前に、

 もぞもぞ…

 尻尾を振りながらナナのスカートの中へと潜り込み始めた(心の隙間を埋めてやってた奴はこういうキャラだったか?)。



 「まめちゃん!?」
 慌てたナナが、制止するより早く、

 「こら、」

 豆は抱き上げられていた。



 そして、ずっと尻尾を振っている豆に、やや不機嫌となった薔は言い聞かせました。

 「勝手に入んな。」
 「ワン(※はーい、花子ちゃんのごしゅじんさまのいうことはちゃんと聞くもん)!」






 か〜わ〜いい――――――――――っ!
 ワオ――――――――――ン!

 乙女たちは、たいそう萌え。




 「すみません!写真撮ってもいいですかぁ!?」
 「あ?」
 「ワンッ(ご主人さまかわいいです)!」
 「ワン!(※花子ちゃん、ぼくは?)」

 リビングはとたんに和気藹々。


 「それよりおまえ、手伝えよ。」
 「あっ、はいっ!」
 ここでナナさんは、キッチンへと連れて行かれたため、

 “花子ちゃんとあそぶ!”
 “はいはい。”
 わんこたちはリビングにて、じゃれあい始めたのだった。















 ――――――――…

 ガタンッ…

 「あ…っ、……やめっ…」

 スタジオ内に、微かな声が響いた。

 「大きな声を出すと、すぐに気づかれちまうぜ?」
 衣装室にて、上となった鎧は服を捲り上げ、

 「……っ、ん…っ、」
 彼は必死で、声を抑える。


 「このキスマークは…あいつか?」
 そして要の影を、覚った鎧は、

 「まだあいつに抱かれていたのか?」

 下へも手を伸ばし、露にし始めた。


 ビクンッ…

 「……っあっ!?」
 触れられた彼は躰を反らす。

 「そのわりには、俺でもここまで濡らせるんだな…」
 ぐちゅぐちゅと手を動かしながら、鎧は胸へと舌を這わせ、

 「は…っ、あっ、や…っ、」

 甘い声は、そろそろ抑えが利かなくなりそうだ。



 「嫌か?可愛い声してよく言うぜ…」
 そして笑った鎧は、囁いたのだった。

 「あいつより激しく抱いてやる、大人しく俺のものになれよ、……薔、」

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