※※第187話:Make Love(&Ride).109








 「山の中にブドウはないんですかね?」
 甘い果実を探し求めて、ナナと薔は車を停めた場所まで戻ってきてしまった。
 車体には緑の木の葉が何枚か舞い落ち、ゆらゆらと揺らめく木漏れ日が微かに当たっている。



 「あれ?ここまで来ちゃいました…」
 目をぱちくりさせたナナは、彼を見上げると、

 「戻りますか?」

 尋ねてみた。


 すると、繋いでいた手をちょっと強引に引っ張って、

 「いいから、来いよ。」
 「え…っ?あのっ……」

 薔は彼女を車の最後部座席へと、連れ込んでしまったのである。





 彼が車の鍵を持っていたことにナナは少し驚いたが、中からロックをするとすぐさま、

 チュ――――…

 彼女はくちびるを奪われていた。


 「……っん、ん…っ、」
 ワゴン車と言えども無論車内の空間は限られている、かなり密着してふたりはキスを交わす。
 しなやかに撫でられる髪からほんのりと、新緑の匂いがした。

 「は…っん、ん…っ、」
 こんなときに、こんな場所で、隠れてキスを交わしているというのに。
 興奮してしまった。
 ナナはだんだんと夢中になり、羽織っていたカーディガンは丁寧に脱がされ前のシートへと置かれた。




 ちゅっ…くちゅっ…

 「んン…っ、ん……んっっ、」

 くちびるから、互いの熱を流し込み、抱きあう躰も熱くなり、絡めあう舌も何もかもが甘い熱を帯びる。


 シートはギュッと言うような、軋む音を立てて、

 「は…っあ、……っん、」

 名残惜しげに唾液で繋がりながら、くちびるはそっと離される。
 ちょっと離しただけで、包み込むようにくちびるを吸われてナナはますます昂ってしまう。


 薔はキスを、彼女の耳へと伝わせていって、

 「っン、あの…っ、ここで…っ、するんっ…ですか…っ?」

 感じてしまうナナは甘ったるい声で、ふるえながら尋ねた。


 「嫌か?」
 耳もとでやさしく返し、彼は彼女の髪をゆっくりと撫でると、

 「つっても…躰は興奮してるぞ?」

 ふっと、笑う。





 「あ…っあ、……あっ、嫌じゃ…ない…です…っ、」
 それがあまりにも官能的で、ナナはゾクゾクとふるえてしまい、
 「…――素直でよろしい、」
 妖しい吐息と共に耳へキスをして、薔は彼女のあたまをよしよしする。


 「は…っ、ん…っ、」
 あたまを撫でる手つきがまたいやらしく、感じてしまったナナは息を乱す。


 「俺はおまえん中に全部出すからいいが……おまえはよく濡れるからな、」
 そして彼女の正直な反応に、囁きをつづけた薔は、少しだけ離れてからジャケットを脱いだ。




 「乗れよ、」
 彼が着ていたテーラードは、ナナの下へと敷かれようとしている。

 「ん…っ、でも…っ、」
 ナナはもじもじと、躊躇ったのだけど、

 「仕方ねぇな…」

 抱いて上へと座らされてしまった。

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