※※第185話:Make Love(&Cupidity).107








 結局、セックスをしちゃったあと、夕食は仲良く一緒に作りました。

 「ほんとうにドレッシングは、これで足りるんですか?」
 「足りるな、よく見てみろ。」

 ボールに残ったのは僅かだったが、ドレッシングを新しく作ることは決してしませんでした。

 「足りないように、思えてならないんですが……」
 「おまえが初めて一人で作ったやつだぞ?足りるに決まってんだろーが。」

 ……最初はなみなみ作ってあったのに。


 これぞ“ドレッシング記念日”とでも、呼びましょうかね。




 「あっ!でもこれ、美味しくできてました!」
 「当たり前だろ、おまえが作ったんだからな。」

 ナナが味見をしたためさらに量は減ったが、やはり手際よく料理を進めてゆくのは圧倒的に薔のほうでありましたとさ。















 ――――――――…

 一難去ってまた一難、世界はそういう風にできているものかもしれない。

 『もう本当に、ハリーさんが頼りになるかたで良かったわ〜、実穂子ったらこっちから電話しないと何にも報告してこないんだから。』
 「ワタクシで良けれバ〜、いつでもご報告いたしマスヨ〜!」

 すっかり葛篭先生の両親とも仲良くなったハリーは、電話で和気藹々と現状報告をしていた。
 ついでにいずれ義母の、愚痴を聞いてあげたりも。


 そしてこの日の夜、突然、

 『そうだ!ハリーさんにお願いがあったのよ!』

 葛篭の母は、いずれ息子へとこんなお願いをしてきたのである。

 『今度実穂子にも協力してもらって、エクストリームアイロニングをしているところを動画で送ってもらえないかしら!?』

 と。






 「Yes…?」
 一瞬、ハリーはエクストリームアイロニングが何のことだかよくわからなかった。

 『ハリーさんの趣味だと聞いたから、ずっと見てみたいと思ってたのよ、だからお願いね!?お父さんももう興味津々で!』
 この台詞で思い出せた、ハリーは冷や汗混じりに、

 「あの〜、母上どノ、セッシャの趣味ハ……」

 何となくの侍魂で言い訳をしようとしたのだが、

 『あらやだお父さんたら!また酔っぱらって寝巻き反対に着て!…ごめんなさいね、ハリーさん、じゃ、よろしくね?』

 プツッ――――…

 電話は切れてしまった。











 「マサの娘サンの旦那サ――――――――――――ン!!」

 アーン、ァーン…(※喘ぎじゃないよハリーズエコー)


 ハリーは雄叫びを上げたが、おそらく1パーセントあたりも薔には届いていないだろう。



 「ナナにはまだ旦那いないよ!」
 「雅之おだまり。」
 「はい……」
 無論ここはナナ宅であるため、ツッコミを入れた命の恩人ことナナ父だったが、愛する妻に叱られ大人しくなった。


 ……もうすぐゴールデンウィーク、エクストリームアイロニングの特訓でもしちゃうのか?















  …――So the world is funny!

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